ズートピア 感想

映画「ズートピア」を観ました。
4月24日、シネマサンシャイン沼津にて、1回目観賞。
2D吹替版。
5月4日、横浜ブルク13にて、2回目観賞。
2D吹替版。

いろんな動物たちが言葉を話して服を着て二足歩行して、一緒に仲良く暮らしている世界のお話。

とはいえ、元・草食動物と、元・肉食動物との間にはどうにも埋められない確執があるようで。
共存共栄の道は険しいようです。

印象的だったのは警察署長の言う「ありのままで」というセリフ。
かなり嫌味がこめられた皮肉な言い方だったように思います。(原語ではどうだったのかはわかりませんけれども)

そもそも『アナと雪の女王』の中での「ありのままで」はエルサお姉ちゃんが城に引きこもった時の歌なわけで、あの映画としては「ありのままではダメよ」という話のはずだったのに、何故か「ありのまま」であることを好しとするような風潮ができてしまったような気がするのですが、
穿った見方をするならば、本作はその「ありのまま」であることに警鐘を鳴らそうとしているように思えました。

価値観の異なる多様な人たちが一緒に暮らすのだから、ただ自分の「あるがまま」の主張ばかり押し通すのではなく、時には譲り合ったり気を遣ったり、視野を広く持っておくといいこともあるんじゃないかなあ、みたいな感じでしょうか。

元・肉食動物の人たちがちょっと暴れるような事件を起こしたからといって、元・肉食動物全員を危険視する必要はないわけで。

元・草食の人たちが元・肉食の人たちを怖がってしまうのは仕方ないことなのかもしれませんけれども、だからといって、怖がるあまりに、元・肉食の人たちを弾圧してしまうのもやっぱりどこか歪んだ社会なわけで。

偏見や苦手意識を各自が持ってしまうのは残念ながら仕方ないことで、じゃあ、その苦手意識を持ったままでもいいから、仲良くやるとは言わないまでも、「うまくやる」ことを意識していればいいのではないかと思います。*1

難しい話はともかく。

お話もすごくおもしろかったです。
ストーリーそのもののおもしろさももちろんなのですが、構成に無駄がないというか、あれとあれが結びついてこうなった、みたいな布石のばらまきかたと回収の巧妙さがほんとたまりません。
こうやって緻密に練り込まれた作品、大好きです。

*1:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』で平塚先生が言っていたセリフを思い出しながら