運び屋 感想

映画「運び屋」を観ました。
2019年3月9日、シネシティザートにて。
字幕版。

・元気なおじいさんだこと
・劇中では描かれていない部分でもいろいろあったのでしょうけど、根が楽天家なのかしら
・身勝手な人というのは家族にとってはあまり歓迎できない気質のように思えますけど、友人付き合いくらいの距離感だとその身勝手さとか奔放さみたいなものが人を惹きつける魅力のように見えてしまう部分もあったりするのかしら
・行動力があるように見えるというか

 

・運び屋さんというお仕事は、基本的には時間を守ることが大切なのでしょうけれども、特殊な条件下においては、杓子定規に時間を守ることがベストとは限らない場合もあるようで
・そういう意味ではボスは柔軟で有能だったのでしょうに
・ただ、上司がふわふわしてると部下は自分たちがしっかりせねばと張り切る傾向があるみたいで
・部下たちが自分自身を律して動くようになるのは、うまく噛み合えばうまく回るのでしょうけれども
・四角四面な生真面目さというものはどうにも息苦しく感じられてしまって
・おじいさんののらりくらりとしたテキトーさとの対比でもあるのかもですが
・力で押さえつけるような支配のやり方だと余計なことをしたらどうなるかわからないという恐怖から部下たちが畏縮して余計なことをしなくなるみたいなこともあるのかしら
・軍隊とかもそういう傾向ありそうな気もしますけど、おじいさんは退役軍人さんなわりにそういう影響受けてないのかしら
・あるいは戦場で経験済みだからこそ、なのか
・個人差か

・ともあれ、運び屋さんのお仕事的に、決まった経路を時間通りに運ぶというのはリスクが高そうと感じてしまうのは観客の視点だからなのかしら
・そもそも最初の運び屋さん募集の段階ではいつ応募者が来るかもわからない運任せのお仕事だったはずで、時間通りも何もなかろうに、と思ってしまったわけですが
・目的地へ到着してからの手続きとか段取りとかを考えると、到着時間が前後してしまえばそれだけ目的地周辺で待機している人たちのリスクだ高まってしまうでしょうから、そりゃあイヤでもあるわけか
・難しい問題じゃよね

・「ベイビードライバー」も、お仕事の内容はちょっぴり違うものの、車を運転するお仕事のお話で、計画の慎重さはあちらもかなり高かった記憶
・たしか同じ顔合わせでは繰り返しチームを組まないように配慮したりしてたはず

・その点、こちらのおじいさんはさっそく車を買い替えたり羽振りがよくなったりして、身近な人が見たらこの人はどうやって稼いでるんだろうって訝しがられたりもしてたのではないかしら
・何か一山当てたのかな、くらいであまり深くは詮索されたりしなかったのかしら

 

・中盤、おじいさんと同行することになる依頼主側の人たちが、はじめはイヤな感じだったのが、おじいさんと一緒にいるうちに感化されていくような、ああいうところわりと好きでして
・記憶に新しいところだと「あした世界が終わるとしても」の双子とかああいうの

・組織の中の狭い世界しか知らなかった人が、外の世界の広さを知ってしまったような感覚
・それでいてやっぱり組織のしがらみからは逃れられないみたいな感覚でしょうか

・世界一おいしいサンドイッチでしたっけ、あれおいしそう

 

・追っ手側の人たちも、際立って優秀というほどでもなく、際立って劣っているわけでもなく、忠実にお仕事してる感じで、
・「派手に」
・ただ、ああいうお仕事でノルマってたいへんそう
・一度イレギュラーで好成績が出てしまうとそこが基準になってしまいそうで
・「七つの会議」でも言ってましたけど、数字的なノルマって際限なく上がっていくばかりに思えてしまって
・適正な目標値を設定するの難しそう

・最後らへんの「あんただったのか」感は、ほんとに気づいていなかったのか、薄々もしかしたらそうなのではないかくらいには気づいてたのか
刑事コロンボとか古畑さんみたくおおよそ察してて追いつめていったというほど確信があったようには見えませんでしたけど、どうなんじゃろ

 

・おじいさんが花を育てるお仕事をしていて、1日でも目を離すことはできない、みたいな話をしたときに、おばあさんが家族もそうだ、と言い返すところが、痛烈でした。