pk 感想
映画「pk」を観ました。
11月12日、川崎チネチッタにて。
自覚している中では初めてのインド映画。
(ダンスのところとかを断片的に見かけたことはありますが)
「常識」にとらわれずに、曇りなき眼で見定めるミュージカル。
3行で。
・曇りなき眼で見定める
・歌とダンス楽しい
・ヒロインのジャグーさんステキ
曇りなき眼で見定める
「もののけ姫」のセリフを引用しましたが、どちらかというと「帰ってきたヒトラー」を思い出す部分が多いかもしれません。
慣習や規律で「そうである」と決まっていることに対して、主人公のpkさんは「どうして? どうして?」と問いかけます。
いわゆる「なぜなぜ分析」です。
なぜ? どうして? を繰り返すpkさんの姿をテレビで放送することで、これまで黙って習慣に従ってきた人々も疑問を表明するようになっていきます。
この、テレビや動画サイトといったメディアを介して影響が広まっていく様子が、どことなく「帰ってきたヒトラー」と重なって見えました。
メディアの情報伝達能力というか拡散能力を感じます。
ところで、「帰ってきたヒトラー」ではとある出来事がきっかけでヒトラー氏が窮地に追い込まれます。
本作のpkさんもまたまったくの清廉潔白というわけではありません。
とくに〈踊る車〉からの窃盗を頻繁にやらかしている常習犯です。
「帰ってきたヒトラー」が念頭にあったので、こういった不正行為が咎められる場面があるのではないかとヒヤヒヤしていたのですが、残念ながら咎められることはありませんでした。
あれを不問というのも逆に消化不良のようでモヤモヤした気持ちが少しばかり残ってしまいました。
歌とダンス楽しい
インド映画といえば歌とダンス、という話はかねがね見聞きしていましたが、まさしくまさしく。
とはいえ、「いかにもインド映画」という大人数でのフラッシュモブみたいな大掛かりのダンスはたしか1場面だけだったかもしれません。
が、あの1場面が、後半で大きな意味を帯びてくるという構成になっているのも、お見事です。
兄貴かっこいい。
ちょっぴり岡田真澄さんみたいですよね。
それ以外にもいくつか歌とダンスがあって、それらが滑らかに物語とリンクしていて、ミュージカルっていいなあと思いました。
ヒロインのジャグーさんステキ
ショートカットの髪型で、背が高くすらっとしていて、いわゆるサバサバ系という形容が似合いそうな女性です。
日本の女優さんだと長澤まさみさんと重なりそうなイメージ。
ベルギーに留学していたもののなんやかんやあって帰国、その後どういう経緯かわかりませんがテレビ局のアナウンサーになっているというアグレッシブさ。
はじめは自分の番組のニュースのネタとしてpkさんに接触していたはずが、なんやかんやのすったもんだになっていきます。
ジャグーさんの背が高いのかpkさんが低めなのかわかりませんが、二人が並んで立つとジャグーさんのほうが大きいという身長差が、ポイント高いです。
ジャグーさんとpkさんとの絶妙な距離感がまた、もどかしいというかいたたまれないというか。
ムズムズするような、ニヤニヤしてしまうような感覚です。
劇中歌で、「恋なんて時間の無駄」という歌詞が出てきて、その後の展開に大きな役割を果たすのですが、ちょっとばかり唐突に出てきた印象がありました。
ですが、ネットで見かけた情報によると、どうやら「恋なんて時間の無駄」に至る場面が日本での上映ではカットされているみたいです。
どんな事情でカットされたのかわかりませんが、ピースが欠けているように思えて少し残念です。
モヤモヤとか残念とかネガティブな言葉を書いてしまいましたが、全体としてはとても楽しめましたし、観了後の気持ちも爽やかです。
とても良い映画体験でした。
余談ですが、阪本順治監督の映画「団地」とつながっていたりするとおもしろいなーなどと妄想が膨らみます。