嫌な女 感想

映画「嫌な女」を観ました。
7月2日、川崎チネチッタにて。
原作未読。

吉田羊 v 木村佳乃

男性2人組だと「ブロマンス」という呼び方があるようですが、その女性版みたいに感じました。
タイガー&バニー西田征史さんが脚本というのも影響あるのかしら。(朝ドラは見てない)

ガチンコなキャットファイトの迫力たるや、すさまじいこと。
とらドラでの生徒会長とかスキー場のとかを思い出しました。

タイトルの「嫌な女」に関する大オチになるはずの部分が予告編でネタバレされていた上に本編でもわりとさらっと流されていたように見えたのはちょっともったいない気がしますけれども、このあたりは好き好きかもしれません。
予告編で「こういう話なのだ」とわかっている安心感みたいなものもありますし。

そういう意味では、ある程度あらすじがわかっている物語がどのように味付けされているのかを楽しむような見方を、ぼくはしていたと思います。

そして、それが殊の外におもしろく感じることができました。

冒頭の場面での音楽の使い方から心をつかまれました。
ああいう場面でそういう音楽を使うのか、という意外さでした。
(ただし、その後についてはそこまで奇抜な音楽の使い方は無かったような気がします。)

別の場面では、二つの異なる場所を画面で二分割して、(まるでドリフのコントのセットみたい)、隣り合わせに、同時進行しているかのように掛け合いをしながらも、その話している内容が正反対であるという、なんともドギツい対比を見せつけてくれました。
あの場面のいたたまれなさは際立っていたと思います。

一方で、気になる点もいくつか。

弁護士ともあろう人が業務上で知り得た情報をあんな使い方してしまうのはコンプライアンス的にかなり疑問なのですが、どうなのかしら。

あと、中村蒼さんは登場時と終盤とでいい対比にはなっていたと思うのですが、中盤ではそこまで目立った活躍が見られなかったので、ちょっぴり残念でした。
(これは個人的に好きな役者さんだからという私情にすぎませんけれども)

吉田羊さんの役柄は他人との間に壁を築いて必要以上に近づきすぎないように距離をおく、臆病なハリネズミタイプ。

言葉の意味を正しく理解できている自信はありませんが、少し前に話題になった「まじめ系クズ」というのがこんな感じなのかなあと思いました。
ぼく自身も見につまされます。

木村佳乃さんの役柄は、なんだかつかみどころがない感じ。
奔放で天真爛漫のようでありながらも、けっして自然体なわけではなくて、ある程度は意図的にそのように振る舞っているとおぼしい節もあったりして。
なんともいえない不思議な魅力があるようです。
ぼくも絵を買ってしまいそう。

ともあれ、いわゆる「百合」とはまた違った、どちらかとドライでいがみ合うような二人の距離感が、とても良いなあと思いました。