海よりもまだ深く 感想

映画「海よりもまだ深く」を観ました。
5月22日、横浜ブルク13にて。

昔書いた小説で賞をとったことがあるもののその後は開店休業状態で取材と称して興信所の仕事をしている男性(離婚歴あり)のお話。

結婚というものに対する夢も希望もありゃしないお話のようにも思えますが、一方で、真木よう子さんと結婚して離婚して微妙な間柄になって罵倒されたい、というしょうもないことを考えてみたくもなったりもしました。

ものすごく静かな、どうということのない日常を切り取ったような映像ではあります。
が、同時に、当事者の人たちにとってはかけがえのないドラマチックな一幕だったのかもしれません。

そういえば「となりのトトロ」の初期のアイデアでは台風の夜を一晩過ごすだけみたいな案もあったという話をどこかで読んだような記憶がおぼろげにあるのですが、案外、それを映像化した作品という見方もできるのかもしれません。

賞をとった小説も自分の家族をモデルにしていたらしくお姉さんからはひどく憤慨されていましたが、もしかしたらこの映画もまた阿部寛さんが実話を元に書き起こした小説を映画化したものなのではないかと疑ってみると、ちょっぴりメタな視点を持つことができるかもしれません。

タイトルの「海よりもまだ深く」はテレサ・テンさんの「別れの予感」という歌からとったみたいで。
出典を知ってしまうと(というよりも劇中でこの歌が流れるわけですが)、ものすごく直球のネーミングだったのだなあと感服しました。

とくに、樹木希林さんと真木よう子さん二人きりになった場面、あの臍の緒の場面には、はっきりと言葉には出さないものの、まさしく「別れの予感」がひしひしと充溢していたかのようでした。

少し前に某所で話題にあがっていた、もはや叶うことが無いだろう「もしかしたらあり得たかもしれない未来の話」をしている場面だったのかもしれません。

海よりもまだ深く (幻冬舎文庫)

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