お父さんと伊藤さん 感想

映画「お父さんと伊藤さん」を観ました。
10月15日、静岡シネギャラリーにて。
原作未読。

伊藤さんと同居する娘さん(上野樹里さん)のところに、兄の家族と同居していたはずのお父さんが身を寄せるお話。


3行で

・どなたかが「葛城事件」と評していましたが、なるほど納得。子供が男兄弟だったら葛城事件やむなしだったかも。

・本作の上野樹里さんは、イヤなものはイヤと言える程度にはズケズケと率直な話し方をする人で、さほど鬱屈する方向には行きにくかったのかも。
(とはいえ、まったく無遠慮に何でも言い放つわけでもなく、ある程度の配慮をするだけの分別もあるので、そのあたりでゴタゴタするわけですが)

上野樹里さんみたいな34歳と懇ろになれるのならコンビニのバイトでもいいかなあとか思ってしまったり。
料理できないから給食のおじさんは難しそうですが。

上野樹里さんかわいい。
がさつそうなとことか、雑そうなとことか。足癖が悪くて引き戸を足で閉めたりとか。うあーってなったときに床をゴロゴロ転がったりとか。書店の仕事で梱包を開くときのなんか雑な開け方とか。
何気ない仕草の何気なさっぷりというか、生活感というか。

上野樹里さんかわいい。
料理をしっかり作れるところ。
揚げ物とか得意そう。美味しそう。
(帰りにさぼてんでトンカツ+カキフライ食べてしまった。ソースはたぶんウスターではなかったはず。中濃は悪魔のソース。)

上野樹里さんかわいい。
単独だと、化粧っけもなくて、なんだか地味な役柄になりきっているわけですが、それでも、お父さんの教え子だという人たちが訪ねてきたときにその人たちと並んでいると、素材の良さが際立っているように見えました。

リリーフランキーという役者さんは、もしかしたら存在そのものが機械仕掛けの神様みたいな存在なのかもしれない


以下、本編。

お父さんは小学校の先生だったそうで。
それだけが要因でもないのでしょうけれども、なんとも口うるさい、めんどくさいお人。

そういえば「先生と迷い猫」の先生も気難しい先生でしたっけ。

なんとなく「先生」という肩書きだけで、そういうイメージを持たれがちなのかしら。
(といいつつ、ぼくの身内でも心当たりがあったりしつつ)



言うなれば、「東京家族」(山田洋次監督版。小津版は未見)のアレンジメントなのかもしれません。

長男(兄)一家と同居していたお父さん(未亡人)が、長女(妹)の元に身を寄せるわけで。

家族の在り方について考えさせられます。
(普段から考えていなかったというわけではないけど、こういうケースになったら自分はどうするか考えてみたくなる、例題のような意味で「考えさせられます」。)

感想文で「考えさせられます」という言葉を使うとなんやかんや言われることがありますが、比較的身近な問題に対して、明確な事例が提示されたことで、より具体的なケーススタティの材料になるというような意味合いで、「考えさせられます」と書いてもいいのではないか思うのですが、だめかしら。


サバサバ系という人物像がいまひとつわかっていなかったのですが、案外、本作の上野樹里さんみたいな感じのことなのかしら。
実際に身近に居たら、ぼくのほうからはすぐに好きになっちゃいそうですけど、向こうからはまったく相手にされなそう。
なにがどうしたらあんなことになるんだろう。
(ふりだしに戻る)