シェルコレクター 感想

映画「シェルコレクター」を観ました。(2月27日観賞分、チネチッタ
原作未読。

目が見えないのに貝を収集している人のお話。

「目が見えない」という感覚を目を瞑った状況としてしか想像できないので、それでどうして「貝の美しさ」を知覚できるのかが、どうにも実感しにくかったです。
貝の美しさって形状や色彩といった視覚に依存する部分が大きいように思うのですが、触覚で「美しい」と呼べる感覚が、ぼくには想像できていません。
リリーフランキーさんの目の見えないお芝居が真に迫って見えただけに、余計に不思議です。
人の触覚ってそこまで発達できるものなのかしら。

構成としては、3部〜4部くらいに区切ることができそうです。

寺島しのぶさんのターン、
荒っぽい組の人たちのターン、
息子さんのターン、
(あえて加えるなら)橋本愛さんのターン。

寺島しのぶさんの役柄はそこそこ名のある画家さんだったようですが、世界中で流行し始めた体が動かなくなる奇病、現状では不治の病に罹患してしまい絶望していたところ、貝の先生のところに流れ着いたご様子。

失意して絶望した様子と、そこから一転して希望を得てからの燃え上がるような「生」の活力と。
芸術家の爆発力みたいなものを感じました。

荒くれた人たちの乱暴さ加減には閉口します。

貝の先生の、息子さん。
悪い人ではない、というよりむしろ正義の人、義憤の人、なのだろうと思います。
世のため人のため。
とても立派な人です。
ただ、どことなく危うさというか、地に足の着いていないフワフワした理想の中で生きているような不確かさみたいなものも感じたような気がします。

橋本愛さんの役柄は代々受け継がれていた神秘的な力を守る血筋の人のようです。
ずっと白い服を着ていたのに、最後の場面では鮮やかな真っ赤な服になっていました。
何を暗示しているかは知りたくもありません。

あのラストはポニョの中盤を思い出しました。

シェル・コレクター (新潮クレスト・ブックス)

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