劇場霊 感想

映画「劇場霊」を観ました。

精巧な人形に宿った怨霊と、血の伯爵夫人エリザベート・バートリを題材にした舞台演劇とが折り重なって巻き起こる悲劇のお話。

高度に発達したホラーはギャグと見分けがつかないというか、
最近知ったところによると「ギャグ」の由来は口を塞ぐもの、突発的に言葉を出せなくする・言葉を封じるもの、ということのようなので、ホラーのようないきなりドッキリさせるようなものも絶句という意味ではギャグと言っても差し支えないのかもしれません。

お話の構成としてはわりと綺麗な流れだと思います。
冒頭で事件の発端を見せておいて、その後は舞台劇に挑戦する新人女優の視点から舞台演劇の表と裏を描いたりしつつも、次第に異変が拡大していったり、裏方の男性スタッフと一緒に謎解きをしてみたり。
とてもオーソドックスなスタイルに思えます。

中でも女優さんの描写がテンプレート的というか、まさしく絵に描いたような「ちょっと売れていい気になって図に乗ってるわがまま売れっ子女優さん」とか、もはや旧世代の遺物ではないかと思ってしまうくらい。

主人公さんは努力家で真面目一辺倒で融通がきかないタイプなようで、それで芽が出ないのはまあわかるにしても、惨劇が始まってからはずっとワーキャー騒いでるだけのヒステリックな感じで、そりゃああんな状態で「あの人形は危険だ」とか言われても信用できるはずもなく、むしろあんたが危ないよ、という周囲の反応はある意味では至極真っ当であるようにも思えます。

何かを伝えたり訴えかけたりするときは、ある程度落ち着いて冷静にならなければならない、ということでしょうか。
あんなんで警察の人はよく動いてくれたものです。

このところ外国の物騒な映画をちょこちょこ見ていたせいか、外国だったらあんなのは誰かが銃をぶっ放して即座に解決してそう、とか思ってしまいました。

ちょうど、人間を模したロボットが題材らしい「さようなら」という映画も公開されているようで、本作と並べてみたらおもしろそうかと思うのですが、あいにく「さようなら」は上映館数が少ないみたいで、今回は都合が合わず残念でした。

エンディング曲にはどうして48さんを使わなかったのかしら。不思議。

はじめて作る球体関節人形

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