ナラタージュ 感想

映画「ナラタージュ」を観ました。
11月29日、横浜ブルク13にて。
原作未読。

恋愛もののようではあるのですが、明るく眩しく爽やかな光属性というよりかは、暗く澱んだ闇属性な人たちのお話という感じ。

映画「隣の女」(未見)の台詞が引用されていたように、どうにもならないとわかりながらもどうにもならなくなっていくみたいな雰囲気でしょうか。

演劇(真夏の夜の夢)とか映画(エル・スール、浮雲、等)とかの引用も多いようで、そういう作品を知っていればもっと深みが増すのかしらと思いつつ、知らなくても知らないなりに楽しめていたと思います。

足、とくに裸足が印象的で、足に関してはかなりフェティッシュな映像だったようにも思います。
靴が重要アイテムだったり、雨の多い天候だったりと、「言の葉の庭」を思い出す要素も多かったり。言の葉の庭とは男女の年齢差が逆ですが。靴要素も別人物に振り分けられているわけですが。

映像面では、社会科準備室の引き戸を閉めるときのすーっと閉じていって徐々に減速していってストンと閉め切るところのちょっとした余韻が、なんかいいなあと思いました。
秘め事とか逢い引きとかまで進展する以前の、ほんの僅かに些細な、穏やかな時間がそこにあったかのような。



坂口健太郎さんの、一見すると好青年であるようでありながら中身がどこか歪んでるのも、うわぁって感じでおもしろかったです。

市川実日子さんが重要人物なわりに登場時間がほんのちょっとだったのは少し残念ですが、存在感はばっちりでした。

松本潤さんのグダグダ感も。

そんな人たちばかりなせいか有村架純さんは相対的に歪みが少ないように見えたわけですが、たぶんもう少し客観的な視点から見ると有村架純さんもまた歪んだ部分があるのかもしれません。

演劇部の後輩ちゃんのくだりがやや唐突というか異質なようにも感じていたのですが、もしかしたら有村架純さんもまた描かれていない部分であのような出来事があったのかもしれない、と思わせる作りになっていたのかもと今頃になって気づきました。
(「かもしれない」ではなく断言してしまってもよさそうではありますが明言されていたわけではなかったはずなのであくまでも推測ということで)