FOUJITA 感想

映画「FOUJITA」を観ました。

画家・藤田嗣治さんのお話。

お名前と自画像は見たことある気がしますけれども、当時のパリではかなり有名だったらしい描写で、自分の無知が恥ずかしくなります。

お話はだいたい2部構成で、前半はパリでのあれやこれや、後半は日本に帰ってきてから、となってます。

説明らしい説明はほとんど無いので、ある程度は前知識を持っておかないと、何がどうなっているのやらさっぱりわけがわからないです。

が、お話はこの際どうでもよく。
いや、わかればわかるに越したことはないでしょうけれども。
お話はわからずとも、その映像美だけでも溜め息がもれるほどに、なんだかものすごいです。

撮影のための外的な照明をほとんど使っていないのではないかと思うような明るさで、夜の室内とかはほとんど見えないくらいに真っ暗闇だったりとか。

あと、カメラがほとんど固定だったような気がします。
人物の動きを追いかけるのではなくて、固定されたカメラがとらえた風景の中を人物が動いているような撮り方だったように感じます。
そして、その固定された風景がどれも写真や絵画みたいに一枚絵としてのレイアウトがばっちり決まっているみたいで、なんだかものすごいものを見たような気分です。

音楽がほとんど無くて、ポップコーンをゴソゴソするような音ですら響いて目立ってしまうような静かな作品ですので、たぶんお話だけ追っていたらかなり退屈だろうと思いますけれども、パリの街並みとか室内の調度品とか、背景を見ているだけでも幸せですし、風景描写だけでも姿勢を正したくなるような緊張感が持続していました。

画家さんということでモデルさんもいっぱい、おっぱいもいっぱい。
ですが、さすが芸術の都なだけあって、あんまりエロさは感じません。
むしろ自由で奔放な、当時からリア充様というのはこんなにウェイウェイしてたのかと思うような乱痴気騒ぎもたっぷりです。

画力だけでなく人脈をつくって名前を広めなければ絵は売れない、という意識もあったようで、積極的に社交の場に出ていたみたい。
単身で外国に渡ってあんな風に振る舞うことができるってすごいなー、みたいな。

後半、というかあまり脈絡もなく唐突に日本に帰国して中谷美紀さんを5番目の妻として迎えていたみたい。

戦争を題材にした絵を描いたりもしていたようです。
特に何かを主張するわけでもなく、淡々と流れていったような気がします。
終盤、山の中に分け入って行ったあたりの幻想的な風景は綺麗でした。

藤田嗣治画集 巴里

藤田嗣治画集 巴里