バクマン。 感想

映画「バクマン。」を観ました。

原作既読。

絵を描くだけの場面であれだけ盛り上がるのがすごいです。
線を引く音がリズムを刻んで劇伴音楽と重なっていくあたりとか素敵。

ペンを振り回す殺陣もさすがは緋村抜刀斎と瀬田宗次郎さんというかっこよさ。
めちゃめちゃかっこいいです。

シュージンさんの優秀さがあまり感じられなかったような気がするのは残念。
ストーリーっていう目に見えない部分なだけに難しいとは思いますけど、編集さんたちも基本的に「おもしろい」としか言わなくて、「おもしろい」とはどういうことかみたいな部分までは踏み込めてなかったような。
王道とか邪道とか、自分たちの道を模索する過程もなんだかすっ飛ばされてたような?
あの体育館での閃き部分に集約されていたのかもですが。
もっと初期の段階で、アイデアだけならたくさん用意してあった、くらいは見たかったような。

ほとんどはサイコーさんの作画力が中心で、シュージンさんはベタ塗ったりスクリーントーン貼ったりホワイトかけたりみたいなアシスタントさん状態でしたよね。
見吉さんが居なかったのも大きいかも。

見吉さんをはじめ、岩瀬さんも蒼樹紅さんも、小豆さん以外の女性陣がばっさり登場しなかったのも残念でした。
お話のボリューム的な問題だとは思いますけど、あまりにも男性中心すぎるような。
読者層として映ってた一般人含めて、男性ばっかりだったような気がします。

原作自体の問題でもありますけど、週間少年ジャンプって女性の支持層も多いはずなのに、ここまで露骨に女性の存在を排除するのは、なんだか奇異にも見えてしまいます。

この映画版はいろんな枝葉を整理してほとんどまっすぐど真ん中だけみたくしていて、たとえば平丸先生あたりは原作でああいう人だと知っているからわかるけど初見の人には伝わっているのかしら?、みたいな部分もあったりします。

新妻エイジ師匠もほとんど単なるラスボスみたいな扱いで、その内心まではこの映画だけではほとんどわからない。

1本の映画として見れば充分だし、もしかしたら続編もできるかもしれないみたいな余地が残ったと思えばいいのかもですが、続編をやるには女性陣が出演してないのが足枷になりそうにも思えたり。
難しいですね。

エンディングのスタッフロール、めちゃめちゃ凝っていてジャンプコミックスへのリスペクトをものすごく感じますけれども、
単なる個人的な趣味嗜好で申し訳ないながら、シリーズものがバラバラに順不同で並んでる本棚がなんだか違和感というか落ち着かない感じがしてしまいました。