リアル鬼ごっこ 感想

映画「リアル鬼ごっこ」を観ました。

原作未読。
旧作未見。(KOTOKOさんの主題歌は気になっていますけど)

予告編では増長しているJKを間引こうという感じだったように思いますが、少しばかり思っていたのと違った感じでした。

映画『神さまの言うとおり』みたいというか、前半にグロテスクな場面が集中していて後半はぐだぐだしていく感じも似ているかもしれません。
『神さまの〜』は原作が続いているらしく映画も続編がありそうな終わり方だったのに対して、こちらは本作だけでいちおうの決着がつきます。

次から次へと繰り広げられる不条理な展開は抱腹絶倒。
始終、笑いをこらえるのがたいへんでしたし、客席からも笑い声がこぼれていました。

グロテスクでありながらもどこかおもしろおかしさを感じます。

劇中、とある人物が「シュール」という単語を多用するのが気になります。

が、今となっては語源であるはずの「シュルレアリスム」から解き放たれて、もはや「シュール」という日本語として通用するのかもしれません。

修学旅行へ向かうバスで、乗客が座席に座った状態のまま上半身だけすぽーんと斬り飛ばされて胴体の断面が切り株のように並んでいて思いついたように血飛沫がぷしゅーと噴き出しているような画面は、「グロテスク」と表現するか、もしくは「シュール」という単語を使うくらいしか、ぼくには語彙がありません。

超☆現実的というよりかは、不条理みたいな意味合いのような気がします。

切羽詰まった極限状態の中でパニックに陥って泣き叫ぶ姿は、悲愴でありながらどこか滑稽にも見えてしまうのかもしれません。

「トリプルヒロイン」というのも本作の大きな売り文句だと思いますけれども、個人的には疑問というか、不服点です。

トリンドルさん、篠田麻里子さん、真野恵里菜さん、というお三方それぞれに確かに見せ場はありますけれども、その扱いにはやはり差があるように思います。

物語上の要請として、3人がそれぞれ別人である必要があったのかすら、疑問です。
全部トリンドルさんでもよかったのではないかしら。

篠田麻里子さんは、作劇上の必然性はともかく、ウエディングドレス姿がお美しい。

その後の大活躍もあいまって、強い存在感を発揮していました。

物語の中での位置付けはよくわかりませんけれども。

そもそも明らかにJKではないので、JKの皆さんさようならという主題からはかけ離れた立ち位置で。

ちょっとどういうことなのか、落ち着いて整理して考えねばなりませぬ。

真野恵里菜さんについては、2015年の園子温監督作品4本に出演、とか、わけのわからないアピールがパンフレットに書いてありますけれども、そういうアピールが女優さんとして好印象な方向に作用するのか、よくわかりません。

余談になりますが、『ラブ&ピース』みたいな出演まで含めても、逆に余計な詮索を招くだけになりそうな気がしてしまいます。

という脱線はともかく。

真野恵里菜さんのパートも、挿入した意義がよくわかんないのです。

陸上競技のユニフォームは素晴らしいと思いますけれども、どうせなら、だぼっとしたものでなく、もっとぴっちりしたものを、という与太話もともかく。

女子の人が懸命に走る姿にある種のフェティシズムを感じることもあるのは確かでしょうけれども、
だからといってほんとにただ走っているだけとか、ちょっとどうなんですかね。

あと、標的にできるのがランナーの人だけで、沿道の人たちは対象外っぽかったのも少し残念でした。

いや、ランナーだけでも惨劇なのは間違いないですけど、沿道の人垣も巻き込んだほうがよりいっそう大惨事っぽくなったのではないかなあ、とか。

実際、冒頭部分では、脇を走っていただけの自転車乗りさんたちも巻き込まれていたわけで。

序盤にショッキングな描写が集中したおかげで、心の閾値が高く設定されてしまい、後半の惨劇が生ぬるく感じられてしまうのは、ちょっとばかり山場のコントロールが機能していなかったんじゃないかとか思ってしまいます。

クレッシェンドとでもいうのか、悲劇の度合いを少しずつ強めていくような構成のほうが、個人的には好みかもしれません。

あ、終盤でガラリと劇内世界の見え方が反転するような構成は、好みです。

ネタバレ的なものはできるだけ見ないでおいたほうが新鮮な気持ちで楽しめると思いますが、この感想文をお読みになられた方には先入観を与える形になってしまい、申し訳ありません。

R15指定なので血みどろぐっちょんぐっちょんなのですが、
同時に、いわゆるぱんちらというかほとんどぱんもろの域だったり、突然女性の団体が服を脱いで下着姿になったり、という描写もあるのですが、なんというか、こんなにも嬉しくない下着描写があるのかと驚くくらいに、残念な感じでした。

あと、JK成分がどのように曲解されたのか、ゆりゆりを通り越してがちれずに近い領域に踏み込んでいたように思いますが、
その手前、JKの人たちがきゃっきゃうふふしている描写もあったりして、それがまた妙にオタク的な視点というか、深夜アニメでやっているような日常系とか呼ばれる傾向の作品群を実写にしたらこんな風になるんじゃないかと勝手に絶望してしまうような感じが、なんだか凄まじいと思いました。

トリプルヒロインさんたちと同程度かそれ以上に、桜井ユキさんの存在感が、素晴らしく魅力的でした。

その他、キャストが女性ばかりという売り込みですけど、嘘っぱちですので要注意。

いや、いちおう笑える感じではあるのですが、女性だけの楽園を期待していたらぶち壊されるので、ふざけんなと不快になる観客もいらっしゃることでしょう。

「総勢37名全員女子」なんて記載は、虚偽だと糾弾したいくらいです。