太秦ライムライト 感想

映画「太秦ライムライト」を観ました。

近場で上映してくれているのがすごく嬉しいです。
が、5人くらいしか入ってなかったので、ぜひとも、もっと観られるべき。

たしか2回目の観賞。

宮崎駿さんだったか、映画なんてものは1回見れば十分で繰り返し見るようなものではない、みたいな発言があって、
本作みたいな映画も、1回目の綺麗な印象こそが大切で2回目以降は粗が気になるんじゃないかという危惧も内心あったのですが、
無用の心配でした。

2回目でも抜群に素晴らしいです。



若い人を悪い感じに描きすぎかなあという懸念はありますけれども、ぼく自身も既に「最近の若いもんは云々」とか言いたくなるお年頃ですので、
誇張はあるにせよ、むしろ、そういうことってあるよねー、と腑に落ちてしまいます。

殺人事件の監督さんやオダノブ!の主演さんはアレですが、
プロデューサーさんはなんだかんだでおいしいところを持っていく感じが、なんかいい感じ。

東京に出て行ってのし上がった象徴が縦ロールというのも、テンプレート的というか、一昔前感もありつつ。

こんなのは、粗ではなくてむしろ美点でしょう。



香美山さんの佇まいがそれだけで美しさを感じる上に、映像的な陰影もあいまって、場面場面がすごくかっこいい。

香美山さんとヒロインさんとのお稽古のところとか。

それが後半、子どもたちが駆け回るあたりから、夕日を背に拾った枯れ枝で斬り合う流れにつながって、一気呵成に結末へとなだれ込む勢い。

幕切れは初見のときはもっとあっさりスパッと閉じる印象でしたが、実際には意外とじっくりしぶとい感じもあったりしつつ、それでも、あの桜吹雪の中に静かに映る香美山さんの姿は、やはり鮮やかなほどに美しいです。

あの映像は、たぶん、この先ずっと、まぶたの裏に残ると思います。



もうすぐDVDが発売されるようですが、ブルーレイがどうやら無さそうなのは、なんとも残念です。

オープニングのセピア調(もっと水墨画っぽい黒白のイメージでしたが、意外に色もついていたみたい)のかっこいい導入も含めて、高画質で観たい映像だと思うのですが。

そんなわけで、今回、再び大画面で観ることができたのはものすごく僥倖でしたし、映画館の方にはほんとうに感謝の念でいっぱいです。