ラザロ・エフェクト 感想

映画「ラザロ・エフェクト」を観ました。
6月18日、川崎チネチッタ
字幕版。

画期的な治療薬の研究をしているチームが、偶然にも、心肺停止した動物を蘇生できるかもしれない大発見をするお話。

堅苦しいSF かと思いきや、ハプニング系のホラーでした。

白内障か何かで命わずかな犬だか豚だかに、新開発の血清を投与して高電圧をかけると症状の改善傾向が見られるっぽい、というあたりからなんとなく実験が危うい方向へ行ったり行かなかったり。

犬に対しての動物実験ですら何やら様子がおかしかったのに、スポンサー関係のいざこざから慌てて成果を上げようとして大変なことになったりならなかったり。
研究費用を大学外部の民間企業から提供してもらっていたりするとめんどくさいゴタゴタに巻き込まれたりするみたいでたいへんそうだなあとか思ってしまいました。

そんなこんなで禁忌の業に手を出してしまったわけですが、そこから先は、びっくりどっきり系のホラーとしてはおもしろい(こわい)ものの、せっかくこれだけ科学技術的に凝った設定のわりには、大学内どころか研究室のあるフロアの中だけに終始してしまっていて、こぢんまりというか、規模が小さく感じました。

スポンサー云々が絡んできたあたりで、あの人たちが外部に持ち出したことで外の世界でも大パニックとかなってもよさそうに思えたのですが、そのあたりの描写はなくてご想像にお任せされています。

どちらかというと、主人公といっていいはずの女性博士が抱えていた幼少時の悲惨な記憶が鍵になっていて、怨念とか怨霊とかいったような情念の側面が強く感じられて、俗に日本的とでも呼ばれていそうな系統のホラーっぽい雰囲気もあったような気がします。

研究室のあるフロアの廊下と、女性博士の記憶に出てくるアパートメントの廊下とが時に重なり合うような描写になっていて、映像的な意味付けも色濃く感じます。

単純に生前と死後とを切り分けるのではなくて、生命活動が停止した瞬間に脳内に大量に分泌されるという脳内物質がどうたらこうたらみたいな科学的アプローチと、キリスト教的な死生観と、その他にもなんやらかんやらいろいろ合わさっていたり人によっては衝突したりしつつも、死とは何か、生とは何かを考えさせるようなテーマかと思っていたので、
単なる復讐殺戮劇になってしまったのは少しばかり残念でもあり、ぼく自身の期待の持ち方が間違っていたかのようでもあり。

なんやかんやで、ホラーとしてはおもしろいですし。
あやしげなところに近づいていって、来るぞ来るぞと身構えさせておいて、違った(ほっ)としてからのドーン!、とか。
音にびっくりしたというのもありますが、なんというか、観客の心拍数のコントロールが巧みだなあと思いました。

余談ですが、外国映画を見るはずが予告編で日本の映画ばかり流れて、シアターを間違えたかと不安になってしまいました。
配給が日活だからなのかしら。