映画「五等分の花嫁」  感想


映画「五等分の花嫁」を見ました。

2022年5月28日、シネマサンシャインららぽーと沼津にて。BESTIA版。

原作未読、テレビアニメシリーズ未見。

雰囲気からすると、これまでいろいろとすったもんだあったあげくの完結編になるのかしら。

途中過程はわからないながらも、本作単体でも楽しめたと思います。

 

往年のギャルゲーと呼ばれるような作品群でもしばしば見られたように、いわゆる「恋愛」が主題のようでありながらも、個々の抱えている問題は様々で、その個々の問題と向かい合ったり解決したりといった部分が大きくて、その解決策は必ずしも恋愛の成就だけではなかったりするようです。

本作の場合、長女の人はあらかた問題を解決済みで、やや俯瞰的な立場になっていたように見えました。

ただ、その一歩引いたような距離感というのは、ぐいぐいと押し寄せる圧力ばかりの中にあっては逆に居心地がよさそうでもあって、相談事にも乗ってもらいやすそうでしたし、子を見守る親目線みたいなものを共有できていそうなようにも見えました。

本作の結末は高校卒業時点の選択がそのまま5年近くも維持されていたようですが、FANZA あたりを眺めていると大学進学をきっかけに地理的な距離が開いてしまったカップルにはいろんな試練があるらしいですし。

舞台となっている地域はわかりませんが、男主人公の進学先が東京だという話があったのでおそらく東京からは少し離れているのでしょうし、長女の人は俳優さんということで東京に滞在することも多そうですし、なんかこう他の姉妹の知らないところでふとしたきっかけで一線を越えたりすることもあってもよさそうなような(妄想)

 

二女と三女と五女もそれぞれに将来の進路が課題だったと思いますが、亡き母との思い出や継父との関係なども絡めていい感じに問題解決できてそうな感触でした。

(二女と三女に関しては、この映画だけ見た範囲では役割が似通ってしまってた気がしてしまいますが、時間尺の面での要請もあったのかしら)

 

そんな中で、四女の人は精神的に追い詰められてる描写が強くて心配になるくらいでした。他の姉妹とは違くありたいとするばかりで空回りしているように見えてしまって。

 

本作では五つ子ですが、双子を扱う作品なんかでも、同じような見た目の兄弟姉妹の中にあって自分を自分個人として認識されたい、認められたい、という題材のものを見かける気がします。

あるいは、双生児や多生児に限らずに兄弟や姉妹がいればそれぞれに見比べられることは多々あるでしょうし、なんなら兄弟姉妹に限らずにもっと広く普遍的な感情でもあるかもしれません。

同じような人が複数いる中で、誰でもいいのではなくてあなた自身であることがいいのだ、という承認というか肯定みたいなの、いいなあ、ほしいなあと思います。

たぶん、広く「恋愛」と呼ばれる感情と、こういう「あなただけが特別」みたいな感覚ってわりと近いところにあるのではないかしら。

自尊心とか自己肯定感とかみたいなものを外部からの評価によって強化するような感じというか。

 

 

 

文化祭のくだり、5人のルートが場合分けされていてルートが分岐しているかのようでしたが、たぶん繋げたら1本の時間軸のところを切り貼りして順番を入れ替えて分岐したかのように見せかけているトリックという理解でいいのかしら。

パラレルな要素の表現方法としておもしろいと思いました。

 

そういえば、「男主人公くんが誰を選択するのか」とは別に、「小学生くらいの頃に一度出会っていたのは誰だったのか」という問いもあったようですが、この映画単体で見たときにはちょっとわかりにくくて、ここまでシリーズを追ってきた人向けの要素になってたかもしれません。とはいえここまでのシリーズを知らずにこの映画だけ見る人もそうそういないでしょうから無用な注文かもしれません。

 

 

 

五つ子の両親(母親と父親2名)や五女や、男主人公くんとその幼馴染女性あたりの、教師と生徒というか、教える側と教えられる側、みたいな関係が連鎖している構図は意図的に組み込まれたものなのでしょうけれども、なんというかこう背徳的な雰囲気があるように感じてしまう部分もあったりするかもしれません。ハラスメント的なものとも紙一重っぽくて慎重さが求められる部分な気もします。

それはそれとして、五つ子の母親と、実の父親を自称している謎おじさんとのなれそめが原作とかアニメシリーズではどの程度描かれていたのか気になるところです。

 

 

 

メモ

・恋愛と問題解決と自己承認

・パラレル

・教師と生徒

・五姉妹の母親