貴族探偵対女探偵 感想
やんごとないご身分の貴族様と、駆け出しの女性探偵さんとが対決する作品集です。
以下、ネタバレ注意
1.白きを見れば
雪で閉ざされた山荘での殺人事件。
2.色に出でにけり
海辺の別荘での自殺に見せかけた変死事件。
女性との付き合いの多い貴族探偵に対して、男性を(女性も含みつつ)支配する女王様の登場。
3.むべ山風を
大学でキノコの研究に従事する学生の殺害事件。
4.幣もとりあへず
隔離された温泉宿での殺人事件。
「幣」が読めなかったなんて言えない。
5.なほあまりある
絶海の孤島での連続殺人事件。
前4話を引き継いでの総括的なお話。
総じて、女探偵・高徳愛香さんが事件解決に乗り出して、居合わせた貴族探偵を犯人として指摘する、という展開。
パターンが決まってはいるものの、その手口は毎回巧妙です。
論理的に組み立てられた推理が、ぐるっと一転して別の様相を現す快感。
女探偵さんにとっては屈辱でしょうけれども。
それでもめげないのがいいところです。
パターンがお決まりになっているのと、トリックもそれほどぶっ飛んだものが無いのとで、今回はそれほど衝撃は無かった気がします。
「幣もとりあへず」は少しわかりにくかったですが、前巻での「こうもり」のように読者を騙すものではなくて、女探偵さん(作中人物)だけが騙されていたということのようなので、それほど混乱しなかった気がします。
ともあれ、大団円でなにより。
- 作者: 麻耶雄嵩
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/12/06
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