ペンギン・サマー

六塚光「ペンギン・サマー」(一迅社文庫)を読みました

帯の大森望さんによると、
『バカだけど、意外とロジカル。
こんな××SFが読みたかった。
いやマジで。』
だそうです。


舞台となる白首市に伝わる「クビナシ様」の伝説を、おさななじみと一緒に追いかけてみたり、
一方、街では謎の秘密結社「赤面党」が暗躍していたり、
という、作者によると、『青春SF伝奇ホラー?』だそうで、
まあ、そんな感じのお話が展開されます。

で、お話といっても、中身は、
郷土に伝わる説話集の抜粋だったり、
日記だったり、
ボイスレコーダーに残された口述記録だったり、
秘密結社の作戦会議だったり、
ウェブに公開された反論文だったり、
という体裁で、
実質的にお話が動いているのは、最初と最後だけのような形なのですが、
これらの資料的なものによってこそ、この本を通して語られる事件の全体像が描き出される、という構成は、
とてもドキドキする読書体験でした。

SFとしても、伝奇ミステリとしても、おもしろく読めるお話だったと思います。

読後、もう一度はじめから読み直したくなりました。