箱宮ケイ「できそこないのものがたり」2巻、講談社

ギュールギルムの魔法人形さんたちの、『懐かしいけど新しい、ちょっと切ないショートストーリー』です。

人と一緒に踊りたくて魔法で操っていた魔法人形さんと、「楽しいこととかラクなことにはウソがたくさんまじっている」と言い聞かされて育ったために、楽しいことを素直に楽しめないひねくれた性格になってしまった女の子さんとか、

恥ずかしがり屋さんで自分の姿形を人に認識されない魔法人形さんとか、

世界中を旅する魔法人形さんと、それを追いかける魔法使いさんとか、

魔法人形によく似た操り人形さんと、その人形使いさんとか、

「ウソがつけない」魔法人形さんと、捕まえられた魔法人形さんを缶詰に閉じ込めるお仕事をしている人間さんとか、

いろんなところを旅して逃げ回っている、風景を切り取る魔法が使える魔法人形さんと、さびれた村の女の子さんとか、

目がぐるぐる回っている猫さんと、猫さんを拾ったコソ泥さんとか、

お祭りに現われた笛吹き魔法人形さんとか、

いろんなかたちの、『楽しいお話や、くだらないお話や、悲しいお話や、おもしろいお話や、それらが全部いっぱいつまった、ワクワクするお話』が盛りだくさんです。

巻末の箱庭幻想劇場もまたさらに短いながらも素敵なお話で、
とくに「ガーとボクらの夏」は、大魔王ガーガージャックルさんが引退してしまって、途方にくれた勇者たちが暴れ回って世界中が大騒ぎ、というのが、なんだかツボでした。
あと、ガーちゃんが、好いです。