俺ガイル10.5巻 感想 あるいは、写真にまつわる私怨

渡航やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」10.5巻、ガガガ文庫

一色いろはすさん、7.5巻で登場して10.5巻がメイン回という端数扱いを見ると、お話を転がすために投入されただけなのかな〜、みたいな印象を持ってしまいます。
あざとかわいい。

あくまでも奉仕部の外側の存在っぽいような線引きを意図的にしているらしい様子もまた、いじらしいです。

どんどんドーナツと万策尽きたのSHIROBAKO推しは微笑ましく感じます。
ぽんかん?さんつながりでしょうか。

せっかく前半で編集志望という振りがあったのだから、後半も材木座さんが活躍してくださってもよかったのに。

この温かい優しいぬるま湯な雰囲気からどう修羅場っていくのかしら。
わくわく。


写真にまつわる私怨

作中、自分の写真を撮ることに関して、比企谷八幡さんはイベント等の何か特別な行事を記録に留めるものだという認識であるのに対して、
一色いろはすさんは、日常の何気ない一瞬一瞬を残したいような旨を言います。

写真撮影用のカメラ機能が搭載された、いわゆる携帯型電話端末機および多機能端末機の普及によって、「写真を撮影する」ことが日常的に格段に容易になったことで、「写真」が身近になったものと思われますが、
同時に、「写メ」と俗称されるように、写真をメールで送信してコンピューターネットワークを介して共有することが暗黙の了解とされている節もあり、
即ち、「写メ」とは誰か他人との共有を前提としたコミュニケーションツールであるわけで、
共有するべき相手が居なければ、「写メ」は「写真」に過ぎず、わざわざ撮影する動機などありやしないわけです。

写メに限らず、写真全般において、その接し方には個人差があるように思います。

日常的にスナップ写真を撮影して記録を残している人々が居る一方で、
自分の写真なんて、学生時代の集合写真的なもの以降はめっきりなくなって、証明写真くらいしか無いんじゃないかという人間だって居るわけです。

テレビ番組のプロジェクトX的な、今ならプロフェッショナルとか凄ワザみたいな番組で、しばしば、仕事中のスナップ写真みたいなのが紹介されたりしますけれども、うちの職場では仕事中の写真を撮影するような風習は無いので、ああいう写真はいつどういうタイミングで撮っているのか不思議だったりもします。



ともあれ、近年の写真が無いということについて、無用な心配をしてしまうこともあります。

火山の噴火に巻き込まれたような不慮の事故の犠牲者であっても、SNSの履歴や卒業文集を公開されてしまうような時代にあっては、黒歴史的な闇を掘り起こされないように、無難な日常的な写真を用意しておくことも必要なのではないかとか、ぐだぐだ考えてしまうわけです。

また、更に無用の、おそらく万に一つも可能性の無いであろう杞憂なのですが、もし仮にふとしたはずみで結婚することになったとして、(現状ではお相手の当てもないわけですが)、結婚披露宴で流すスライドショー的な写真が無い、という問題を考えてしまうことがあります。

あの風習の是非はともかく、(数回しかお呼ばれしたことがないものの)、どうしてみんなあんなに写真が残っているのか不思議だったのですが、
「写真」が仲間内での共有を目的とした媒体だということを理解すると、
「写真が在る」ということは共有するべき所属グループがあるのと同義であり、
「写真が無い」ということは共有できるようなグループに所属できていなかったということなのかもしれません。

これは同時に、結婚披露宴に呼ぶ友人が居ない、という問題にも接続してしまい、結婚できる見込みなどありやしないのに、どうでもいいことに思い悩むような無用の憂慮に時間を費やしたりしているわけです。



そんなわけで、日常的に写真を撮影しておくことも大事なのかしら、と思う一方で、そもそも写真に写った自分の姿を見るのが苦痛だという大問題もあるので、やはり目を逸らしていきたい所存です。

2015/05/09 追記

写真で思い出したこと。

とらドラ』で、文化祭か何かの写真を購入しようとする場面がありました。

個人情報云々が厳しい昨今、あのシステムが現存しているのかはわかりませんが、当時は、業者の方々が撮影した写真を壁一面にずらーっと貼り出して、自分が欲しい写真を指定して購入できるシステムが、うちの学校でもありました。

自分の写真なんぞはどうでもいいし、そもそも写っていたとしてもそっぽを向いていたり見切れていたりだったわけですが、
同時に、自分が写っていない写真を購入することもできたわけです。

気になるあの子の写真を合法的に入手できる、画期的なシステムでありました。

もしかしたら、折本かおりさんみたいに、「きもーい」とか思われていたのかもしれませんけれども。