真夜中の五分前 感想

映画「真夜中の五分前を観ました。」

原作未読。
ほぼ字幕。

中国で時計修理職人をしている日本人らしいお兄さんが、謎のお姉さんにナンパされるお話。

双子の姉妹ゆりとか、万歳せざるを得ません。
双子の姉妹さんが、どちらがどちらかわからなくなるという、双子ものでは定番のような題材ではありますが、(個人的には中村明日美子さんの「ウツボラ」を思い出しました)、それだけに、(おそらく)上海の(と思しき)異国情緒あふれる街並みと、アナログの時計修理店というレトロな機構とあいまって、なんとも幻惑的な雰囲気になっています。

三浦春馬さんが、わりと無口な感じで神秘的な雰囲気を醸し出していて、黙って画面に映っているだけでも惚れ惚れするくらいにかっこいい。
何より、いかにも時計修理職人という片目眼鏡が似合っていて、佇まいが様になっています。
基本的には中国語で会話するものの、どことなくぎこちない感じもあったり、ぽろっと日本語が出てしまったりするあたりも、かわいらしいです。

ヒロインの双子姉妹さんも、それぞれなんとなく性格が異なりそうでありながら、やっぱり共通するところもあったりと、はっきり演じ分ける部分と、どちらともいえない混濁した部分とで、女優さんてすげー、というか、女子の人怖ぇ、の域。
美しさについては特筆する必要もないくらい、ただ美しいですし、スイミングクラブでの腿まで生地があるタイプの地味な運動用っぽい水着でさえ、そこはかとない色気があります。
一方、スイミングクラブとか通っていなくて慣れてない感じの行楽用っぽい水着との対比もお見事。

映画プロデューサーさんに連れられて行った別荘っぽいところでの、一方通行な矢印が交錯する複雑な四角形とか、ものすごくドキドキしました。
あの人とこの人が会話しているときの別の人の視線が、いちいち意味ありげで、あっちを向いてたりこっちを向いてたり、一触即発状態。針のむしろってやつですかしら。
あのプロデューサーさんもとばっちりというかなんというか。

三浦春馬さん視点が中心で、お話の片面だけしか見えていない部分もありそうですので、プロデューサーさん側から見るとまた違ったお話が展開しているのかもしれません。
そういえば原作の表記もA面B面があるようで、二面性というか、多角的な読み方ができるお話なのかもしれません。

そんなこんなで、落ち着いた雰囲気の静かで上品な映画だったと思います。


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