獣の奏者外伝 刹那 感想
4編の、本編では語られなかったサイドストーリーです。
「綿毛」
エリンさんの母、ソヨンさんのお話。
「刹那」
エリンさんとイアルさんのお話。
「秘め事」
エサル先生のお話。
「初めての……」
エリンさんとイアルさんとジェシさんのお話。
通して感じたのは、とにもかくにも、女性の生々しさ。
頭と身体は別物よんっと言わんばかりに、濃密な生の気迫をまとって、たくましく生きています。
こんな話が本編に挿入されていたら、お話そのものの方向性が変わってしまうのではないかという勢い。
女性陣がそろいもそろって、肉体をまとった実体として息づいています。
恐ろしい。
男子としては、ジョウンおじさんの自然な在り方を見習いたいと思うわけですが、それではなかなか女性に相手をしてもらえなかったりというジレンマも。
その点、ユアンさんみたいないけめん貴族様はうらやまけしからん。
ただ、同じような状況になったら、同じような非道な態度を取ってしまいそうな自分もいたりして嫌悪感。
まあそもそも相手にすらされないので、無用の心配ではあります。
そんなわけで、王獣をめぐる世界の命運をかけた壮大な物語の背後に、それぞれ個人の物語もまた確固として存在していることで、物語世界がより実在感を強めているのでした。
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
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