図南の翼 感想

小野不由美「図南の翼 十二国記講談社文庫

十二才のお嬢様、珠晶さんが王様を目指して昇山するお話。

幼女趣味とか被虐趣味とか嗜虐趣味とかがちょこちょこと顔を出して、ついついぺろぺろしたくなりますが、
珠晶さんはそんなものをはねのけてしまうくらいの威光があります。

考え方がめちゃめちゃかっこいい。
いい歳をした大人として、恥ずかしくなります。
珠晶さんと同じく昇山しようとする、他の大人たちの考え方にもついついうなずいてしまいます。
昇山せずに珠晶さんを笑う大人たちの気持ちもわかる気がします。
フツーの人間には、なかなか珠晶さんのようには生きられません。
珠晶さんが道すがら出会う人々は、人ではない人もいますが、実に多彩です。
そういった人々を引きつけるのも、珠晶さんの魅力なのでしょうか。

更夜さんの登場には驚きました。
立派になったものです。
感慨深い。

前巻ではちらっとだけの登場だった珠晶さんがこうして主役を張り、だいぶ前に出てきた更夜さんもこうして顔を出すあたり、十二国記というのはほんとうにひとつの大きな物語なのだなあと思い知らされたのでした。