春期限定いちごタルト事件&夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤穂信「春期限定いちごタルト事件」、および、「夏期限定トロピカルパフェ事件」(ともに創元推理文庫)を読みました♪
清く慎ましい小市民を目指す高校生、小鳩君と小佐内さんが主人公の、推理もの?です。
「春期限定いちごタルト事件」は、高校に入学して、穏やかな小市民生活を送っていた小鳩君と小佐内さんが巻き込まれる、<アリス>の春期限定いちごタルトが関係あるようなないような、ささやかな幾つかの謎と、ささやかな復讐のお話。
「夏期限定トロピカルパフェ事件」は、高校2年生の夏休み、<小佐内スイーツセレクション・夏>が巻き起こす、あまり小市民的とは言えなそうな事件と、小鳩君と小佐内さんとの対決のお話。
…でしょうか?
「夏期限定」巻末の解説で、『連作短編集の各話がむすびついて最後に別の顔を見せるという趣向』について詳しく書かれている通りの構造になっているわけですが、いやぁ、見事です。
感服です。
個別の短編としての、謎解きの面白さだけで十分楽しめたのに、更に駄目押しがあるというのが、たまらなくたまらないです
それから、「春期限定」の巻末解説にもありますが、人が死なないのがありがたいです
推理ものって、下手をすると「人が死ぬこと」がネタになりかねない部分があるわけで、そんな不謹慎な面がおもしろかったり気が重かったりでして…
人が死なない推理ものは、安心して読めるのが嬉しいです
…「夏期限定」の事件はちょっぴり重たかったですが…
本来、殺人事件って、もっと重たいものであるはずなんだよなぁ、なんて、本編とはあんまり関係ないことを再確認してしまったり…
あ、「春期限定」巻末解説で触れられている、加藤元浩さんの「Q.E.D―証明終了」ってマンガも大好きですよ♪
それにしても、目の前の謎を解かずにはいられないという性質は、業が深いですねぇ…