米澤穂信「氷菓」(角川文庫)、「愚者のエンドロール」(角川文庫)、「さよなら妖精」(創元推理文庫)を読みました♪
「氷菓」は、著者のデビュー作。
何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎が、好奇心お嬢様・千反田える、データベース・福部里志、七色の毒舌・伊原摩耶花らと、神山高校古典部の文集『氷菓』に秘められた謎を追いかけるお話。
三十三年という時間を越えて明らかになる、文化祭の通称『カンヤ祭』の由来、『氷菓』の表紙を飾る絵の意味、『氷菓』に込められたメッセージ…
<さわやかで、ちょっぴりほろ苦い>という表現がよく似合うお話でした
世界を超越したお姉様・折木供恵が鍵ですね
「愚者のエンドロール」は、古典部シリーズ第二弾。
文化祭に出展するクラス製作の自主映画のお話。
<廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされて死んでいた。>
しかし、脚本家が倒れて、撮影は中断。
残された手掛かりを元に、結末を求めて上級生と推理較べをすることに…
依頼主の女帝・入須冬美先輩の美しさが際立ってます
あと、「ミステリ」の範囲に目から鱗
シャーロック・ホームズが鍵というかネタバレというか…
バークリー『毒入りチョコレート事件』とか我孫子武丸『探偵映画』とかは知りませんでした
「さよなら妖精」は、ユーゴスラヴィアから来た少女・マーヤと過ごす、謎に満ちた二か月間と、マーヤの帰国後に残された最大の謎…
ちょうど、コソヴォの独立がニュースになってた時期で、あまりのタイムリーさに驚きました
「氷菓」でのお姉様の旅行先がサラエヴォだったり、この著者はユーゴスラヴィアに思い入れでもあるのかしら???
マーヤの外見は黒目黒髪と描写されているのに、「リトルバスターズ!」の能美クドリャフカを思い浮かべてしまうのが、我ながら不思議でした
…お話の展開にも微妙に共通点が…
あ、古典部第三弾が「クドリャフカの順番」というのは、偶然ですよね?
今回の三作品とも、読後、ほろ苦さというか、無力感、虚脱感のようなものを感じました。
(大袈裟かもしれませんが)
探偵役が(おそらく意図的に)未熟な感じがするのは、麻耶雄嵩作品にも通じる気がしますが、
季節限定シリーズに繋がる、探偵役の無力さ、当事者ではないという疎外感みたいなものが、底にあるのかなぁ、なんて思った次第です