ハーモニー 感想

映画「ハーモニー」を観ました。

原作未読。

科学が発達して病気やケガが撲滅された世界のお話。なのでしょうか。
退屈な世界に飽きた人たちがやんちゃしてるみたいに見えました。
ちょうど現実のフランスの方でもなにやらきな臭いようで、タイムリーというか時期が悪いというか。
場合によっては公開中止も危惧されるのではないかしら。

作画はおそらくCGだと思うのですが、手描きと区別が難しいくらいに馴染んでいたように思います。
もはやCG作画が特別なことではない時代なのですね。

加えて、CGならではの強みを活用できているようにも感じました。
レストランでの食事の場面で、2人が食べているテーブルを中心にぐるぐると回り込むようなカメラワークは、従来の手描きでは難しかったのではないかしら。

劇中でバグダッドへ行くのですが、そこで民族手芸風の赤い絨毯みたいな布がたくさん干してある場面があります。
日本が舞台の作品で病院の屋上とかで白いシーツがたくさんずらりと並んで干してあるのを見かけることがありますけれども、あれが赤い民族手芸風の絨毯になっている感じ。
あれだけたくさんの複雑な模様の布が風にはためく描写もまた、CGの有効活用だろうと思います。
マンガの『乙嫁語り』は作画の手間が大変だから映像化は難しいだろうという言説を見かけたことがありますが、これだけCG作画が発達しているのなら任せても大丈夫かもしれない、と思えるくらいに見事な場面でした。

屍者の帝国』と同様に世界を股に掛けてあっちゃこっちゃへ東奔西走していて、原作者の人の視野がそれだけ広いということかもしれません。
土地ごとの背景美術がものすごく綺麗です。
「背景」ではなくて風景映像の場面なんかは息を飲むような静謐な美しさ。
あれもCGなのかしら。なんとなく実写かもしれないような気もします。

PG12らしく、けっこう過激な描写もあります。
とくに血液描写が苦手な方は要注意。血がぶしゃーっと吹き出したりします。
人物の背景もかなり重たい話もあって、陰鬱な気分にもなります。
どことなく『さよなら妖精』を思い出すようでもあります。

あと『Serial experiments lain』の四方田千砂さんとか英利政美さんとか。

エンディングの静かな余韻が、たまりません。

映画「ハーモニー」ARTBOOK

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