台風のノルダ 感想

映画「台風のノルダ」を観ました。(6月6日分)
「台風のノルダ」公式サイト

の二本立て。

陽なたのアオシグレ

2回目。
(1回目の感想はこちら→寫眞館/陽なたのアオシグレ 感想 - 思い出の小箱の隅
記憶がだいぶ薄れていて新鮮な気持ちで観ましたが、スピッツさんの歌に合わせて飛翔する感覚、風を切る感覚の心地よさがたまりません。
この吹き出るような妄想力こそ、アニメーションの醍醐味でありましょう。

台風のノルダ

最近では逆に珍しく感じるようなセカイ系のボーイミーツガール、でしょうか。

西と東のうち、碇シンジさんみたいな方は、あんまり活躍してなかったような。
ぼくにびーえるを見る素養があればもう少し違って見えたのかもしれませんけれども。
むしろ、ノルダさんを介して西と東を結ぶ欲望の三角形の構図と見ることもできるはずです。

ノルダさんは、昨今の流行でいえば渋谷凛さんみたいな蒼い感じのヒロインさん。
とはいえ、外見がいくら美形でも、出会いが衝撃的でも、それだけではお話の魅力には直結しないのかもしれません。
残念ながら時間が短すぎて、ノルダさん自身の魅力を掘り下げるところまでは至らなかったように感じました。

目の前で困っている女の子がいて、その子が外見的にも誘引的であるというだけで、男子の行動原理としては充分なのかもしれません。
だとしても、ではノルダさんとは何者なのか、どういう人物なのか、描かなくていいというわけではないでしょう。
何をするために来たのかみたいな設定的なことではなく、もう少し「人物」としての部分を見たかったように思います。

穴を塞ごうとしたときに手伝ったりしましたけれども、あそこで彼とどういう会話をしたのか。
ぽつりぽつりとたわいのない会話をしていたのか。
あるいは、ただ黙々と作業していただけだとしても、不意に手と手が触れてドキッとするとか、チラチラと目線を送りながらも目が合うとふいっと逸らすとか、テンプレート的かもしれませんけれども、そういう細かい仕草が描写されてもよかったのではないでしょうか。
(もちろんこれは「こうしたほうがいい」というわけではなくて、あくまでもぼく個人が見たかったものに過ぎませんけれども。)

動き自体は、素晴らしいと思います。
人物が走り回る躍動感も、雲や雨、風といった自然の描写も、すごいです。
それだけに、お話(心の動き)の面でももう少し丁寧に見たかったように思う次第です。