駆込み女と駆出し男 感想

映画「駆込み女と駆出し男」を観ました。
(音声注意)http://kakekomi-movie.jp/

原作未読。

駆け込み寺に身を寄せねばならない境遇の人たちのお話。

駆け込み寺システムとか縁切りシステムとか、案外めんどくさい制度だったのだなー、みたいな。



英泉さんってあの善さんのことでしたかしら、とか、馬琴先生だとか、ビミョーに『百日紅』と時代が地続きっぽくて嬉しいです。

反面、言葉がものすごくわかりにくいです。

引用なのやらなんなのやら、婉曲表現だったり慣用句だったりするのかもしれませんけれども、滅法早口でまくし立てられてしまっては、会話の1割も理解できなかったように思います。

が、会話の内容まではわからなくとも、「お江戸っぽさ」はものすごいです。

大人数でわいわいしているときのわいわいがやがや感とかも、生きてる感というか生活感みたいなものが満ちていたように思いました。

小物類、たとえば携帯用の筆入れも、ああいう風に使っていたのだなあ、みたいな。
百日紅では筆だけ持っていて墨はどうしたんじゃろとか不思議だったもので。

逆に、両国橋みたいな大掛かりな舞台装置は、実写で使おうとするとたいへんなのかもしれません。

実写にもアニメーションにも得手不得手はあるのかもしれません。


駆け込み寺ということで女性がいっぱい出てくるわけですが、まあたくましいこと。

だいたい男が悪いのは間違いないので、個人的な恋愛による結婚ではなくて、お家を背負った政治的な結婚制度ではたいへんなことも多かったのかもしれないなぁ、などと思いつつ、ほとんど他人ごとみたいな感覚です。

ランドリオール』のティ・ティさんみたく、どんな相手と結婚しても相手を大切にしてみせる、みたいな器量も当方は持ち合わせておりませんし。


いわゆる人妻モノみたいなものですから、そういう観点では、そういう風に見えたり見えてしまったり。

とくに、お侍さんの凛々しさ、俗に言う「くっころ」感とか、たまりません。

一つ結びというのでしょうか、現代のポニーテールとはまた少し違った感じの、後頭部のやや高めの位置で括って、その結び目も少し長めで、そこからさらりとストレートの長髪が腰くらいまで垂れているような、男装のお侍さん。
気位の高そうな、意志の強そうな立ち居振る舞いでありながらも、暴虐的な男には力で及ばず屈服させられてしまうという。
まさしく、「くっころ……」という台詞が似つかわしいようなシチュエーションです。

本編での扱いがあまり大きくなかったように見えてしまったのは少し残念ではありますが。
あそこで、大立ち回りを決めてくれるの期待していたのですが。
自分の手でとどめをさしたのかどうなのかぼやかされていて、少し消化不良です。
個人的には、自分の手でざっくりと片を付けるべきだったと思いましたが、かといって、手を血で染めてよかったのかというと、判断に迷います。

というか、あの後、なんのフォローもないままに、笑顔でバイバイしていて、え、それでいいの?、みたいな。

よくわからんです。



もうひとり、お寺のいちばん偉い人らしい法秀尼さまも、よかったです。
その信条をしっかりと体現しているらしいお姿は、ほんとお美しい。
大泉洋さんとの掛け合いとか、なんだか微笑ましい感じでした。
ただ、満島ひかりさんとか戸田恵梨香さんさんとかと法秀尼さまとの関係ももう少し見たかった気がします。
同じ空間で生活していたはずなのに、なんだかあまり接点がなかったような。



お寺に身を寄せた女性たちの飢えた狼っぷりもすごかったです。
嗅覚とか。

あれを見ると『悼む人』の井浦新さんがあんなんになってしまったのも納得してもよさそうな気がしてしまいます。
たいへんな世界です。

成年向けのまんがで、女子寮の管理人になってうはうはみたいならぶひなフォロワーみたいな作品が時たまありますけれども、実際は気苦労とかたいへんなのかもしれないな〜、みたいな方向に妄想を修正補強してみたり。

交合は1日3合まで。