かぐや姫の物語 感想

映画「かぐや姫の物語」を観ました。

原作はたぶん教科書に載っていた程度の知識。
竹から生まれたかぐや姫さんが高貴な方々の求婚を振り切って月へ帰るお話です。

おそらく、大筋は原作通りなのだろうと思います。
なんともまあ救いの無いお話です。

以下、ネタバレ注意







翁も含めて、男性陣のふがいなさといったらもういたたまれません。
姫のことを考えていないわけではなかろうと思うのです。
それぞれの立場からそれぞれの在り方で、姫のために行動しています。

ただ、姫の心の内とはどうしようもない隔絶があります。
おさななじみの捨丸さんもひどいものです。
何あの変わり身のはやさ。
あれはない。
いや、もしかしたら、男なんてあんなものなのかもしれませんが。

高貴な方々(帝含む)と、身分の低いおさななじみとの間でヒロインが板挟みになるというのは、まるで少女まんがのようですらありますが、ともかく男性陣にことごとく魅力が無い。
そんな中に、姫の居場所などあろうはずがないのでした。

男性陣は口を揃えて、「ここではないどこかへ行こう」と姫を誘おうとします。
結果、皮肉にも、男性陣を残して姫だけが「ここではない」月へと帰っていきます。
男にとって女性は、美しくとも決して手が届くことのない月のような存在なのかもしれません。

映像の美しさについては、言葉にするまでもありません。
が、お話については、これは原作の問題なのでしょうけれども、姫が与えられた環境に流されるだけで、自ら変えていこうとしないのが、残念です。
自ら切り開ける運命には限界があって、それをただ受け入れて嘆くことしかできないのだとしたら、それはとても悲しいことだと思ってしまいます。