風の万里 黎明の空(下) 感想

小野不由美「風の万里 黎明の空(下) 十二国記」、講談社文庫

慶の国王となった陽子さんと、海客・鈴さん、芳の公主さま・祥瓊さんの3人の物語が、重なりました。

3人それぞれが、それぞれの物語を経て、成長を果たしています。

下巻では、その個別のお話がひとつにまとまって、慶国を荒廃させている巨悪に立ち向かっていくことになります。
勧善懲悪はここちよいものです。
芳を背負う祥瓊さんと、才に支えられた鈴さんが、まるで印籠でも出すかのごとく名乗りを上げる場面は、圧巻でした。



陽子さんは、良き仲間を得て、良き家臣を得たことで、良い国を作り上げていけることでしょう。
そう思わされるだけの力強さを、陽子さんは見せてくれたように思います。
陽子さんの初勅もかっこいいです。
あれだけ散々な目にあったからこその初勅でありましょう。



遠甫さんの正体については、うすうす気付くように書かれているので、やっぱりなあ、という感想です。
これまたどこかの縮緬問屋のご隠居みたいで、かっこいいというか、すかっとさわやか。
良いお話でした。