TAGRO「DON'T TRUST OVER 30」(講談社)

同時発売の三冊目、短編集です。

タイトルの元ネタについては詳しくは知りませんが、
実際にover30になった身には、いろいろと突き刺さるものがあります。

「DON'T TRUST OVER 30」
表題作。
作者の分身みたいな主人公の、独白というかポエムと、それに対する、女性陣からの救済?みたいな?

「Limbo」
笙子さんという、ちょいと不思議な女性にまつわるお話。
他の家族がTVを観ながら団欒している脇で、独りでカップ麺を食べる構図の、虚寒さ。

「The world is full of angry young men.」
若年層の幼稚化が顕著となったために、25歳未満のひとは、
肉体の年齢に加えて、精神鑑定によって精神年齢を測られる世界のお話。
まさに、諦念と怨嗟。

イキガミ様」
イキガミ様とシニガミ様」
超短編
ジョーク???

「昨日雨が降って、
緑がきれいで、
今日がお天気で、
バカな君と一緒で」
なんか、タイトルだけで、涙ぐんでしまうのですが。
静かな、二人だけの世界と、唐突な変ゼミ世界のギャップが激しいですが、それ以上に唐突な落ち。
ひどいのに、妙に琴線が揺さぶられます。

「SON HAS DIED, FATHER CAN BE BORN」
表題作をさらに一歩前進したようなお話。
赤児の瞳は、ぼくにとってはまだ恐怖でしかありませんが、そこに許容を見出だせたときには、大人になれるのでしょうか。
なんだか、劇画オバQみたい。