とらドラ10!

竹宮ゆゆことらドラ10!」(電撃文庫)を読みました

超弩級ブコメ、感動の完結編!です。


父親譲りの目付きの悪さのせいで不良さんに間違えられてしまう高校2年生の高須竜児くんと、
手乗りサイズの小柄で繊細な美少女の外見ながら、虎のように凶暴な逢坂大河さんとが、
ひょんなことからお互いの親友を好きだと知って、共同戦線を張ることになってから丸一年。

複雑に絡まりあって、時には衝突もしてきた人間関係も、
高3を目前に控えて、収まるべき所に収まりつつ、
最後に立ちはだかる大きな壁に向き合うことになるのでした。


ぼくは、もともとTVアニメが始まって、某動画投稿サイトさんで、櫛枝実乃梨さんことみのりんの「盛るぜ〜盛るぜ〜超盛るぜ〜☆」が話題になったあたりから興味を引かれて原作を読み始めたわけですが、いつの間にやら虜になっていました。


とらドラ!の特徴のひとつに、登場人物が、過剰なまでに利他的なことが挙げられるのではないかと思います。

主要な登場人物たちの行動原理が、基本的に自分のためではなくて「誰か」のため、という面が強いように感じます。

このお話の発端からして、お互いの親友との恋が成就するように協力しようという、奇妙で歪な関係だったわけです。

タイガーさんとみのりんさんとの譲り合いなどはその最たるものだと思いますが、
川嶋亜美ちゃんさまも自分のためというよりは、歪な人間関係の綻びをなんとかしようとしていたように思えますし、
生徒会長も、北村くんのためでした。


で、あまりにも自分を蔑ろにしてばかりいると閉塞的になっていきますし、責任まで他人に押しつけることになってしまいますが、
最終的には、進路や家族の問題と絡めて、主人公である竜児くんがしっかりと決断することで、きれいに物語が締めくくられたように思います。

とくに、恋愛絡みのお話では、当事者二人の関係だけになりがちですが、世代を越えて縦のつながりを見られたのは嬉しく思います。

ぼくの狭い知識では、津田雅美さんの「彼氏彼女の事情」くらいしか思い出せませんが、親の世代も一緒に解決へ向かう姿は良いものだと思います。


原作完結とほぼ同時にTVアニメも完結するわけですが、残り話数も少ない中、ややオリジナルの展開も混じってきたアニメ版の結末も楽しみです。




そういえば、あんまり関係ないかもしれませんが、作者の人とは誕生年月日がずいぶん近いようで、そんなことも、作品と波長が合う一因なのかしら、とかおもってしまったり、少なくとも同世代ならではの小ネタにニヤニヤするのも楽しみなのでした。