ボトルネック

米澤穂信ボトルネック」(新潮社)を読みました。

表紙の返しから丸々引用します。

『恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。
ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。
不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。
どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。』

というお話です。


もしくは、
『【ボトルネック
瓶の首は細くなっていて、水の流れを妨げる。
そこから、システム全体の効率を上げる場合の妨げとなる部分のことを、ボトルネックと呼ぶ。
全体の向上のためには、まずボトルネックを排除しなければならない。』
というお話かもしれません。


「自分以外の誰かになりたい」、とか、「ここではないどこかへ行きたい」、とか、現実逃避の手段は幾つかあるかと思います。

が、「自分が別の誰かだったら」、という仮定は、なかなかしんどいものです。

とくにそれが「産まれなかった姉」で、自分より遥かに積極的に世界と対峙しているわけで。

「きれいなジャイアン」のその後、みたいな感じでしょうか。

「悪いことは、何もしていない」というのは、免罪符にはならないんですね…

たしかに、自分自身に返ってきました。