打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 感想

映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を観ました。
8月26日、川崎チネチッタにて。LIVEZOUND。
原作ドラマ未見。
ノベライズ未読。

・個人的にはわりと好き。

・円と球のモチーフがあちこちに散りばめられてて、円だー、球だー、と思いながら見てたものの、そのモチーフがどういう意図で配置されていたのかまでは考察が及ばず。ぼんやり見てただけでした
タンポポの綿毛(球のモチーフ)は、花火が球体の世界線ではなずなさんは離れていかなくちゃいけない暗喩だ、みたいなことを言えればいいのでしょうけれども
・学校が円のモチーフなのは繰り返す世界線に捕らわれているのだー、とか

風力発電の風車なんかは平べったい花火の暗喩のようにも見えますけど、その意図はわからず
・自転車の車輪とか
・団扇に印刷された花火とか

・そういうモチーフの意味を読み取る能力ほしい

・先生のおっぱいも、大きい(球のモチーフ)と、着物姿のときの小さい(円のモチーフ)だったりするのかしら



・「ループもの」という評価を見かけますが、「ループもの」といってもいくつか類型があるはずで
・深夜アニメで見かけるのは、とある1点を起点にして毎回そのセーブポイントまで戻るものが多いように思います。(根拠データ無し)
・狭義の意味で「ループもの」という場合は、この特定の起点から何度も繰り返す物語だというのが個人的な認識でした。
・が、広義にはもっと多様なものが含まれるのでしょう。
サクラダリセットのように意識的にセーブポイントを設定して戻る時点を選べるのは珍しいと感じました。
・「戻りたい」と願ってリセットが作動した時点から一定の時間だけ戻ることができるものもあるかもしれません。
・ループしたりやり直したりした際に、前回と異なる行動を選択すると、それによって世界が分岐して、前回とは異なる展開になったり、場合によっては街並みといった世界環境にまで変化の影響が及ぶこともあります。
・が、少なくともぼくの知っている作品では、分岐した先の世界であっても、基本的には物理法則は変化しない、同じ世界観の世界ではあるはずです。

・物理法則や世界観ががらりと変化する作品があるとしたら、単純な「ループもの」ではなくて、たとえばドラえもんの〈もしもボックス〉のような、まったく別の世界、異世界への転移であると見るべきではないでしょうか。

・そういう意味では「パラレルワールド」という呼び方は当てはまりそうです。
・ほんのわずかな選択肢の差異だけではなくて、住んでいる人たちは共通でありながらも物理法則や価値観が現世とは異なる並行世界。

・本作において「ループ」のように見える現象は、同じ時間、同じ世界を巻き戻してやり直しているのではなくて、この世界とは別の異世界へと転移しているように見えると思います。

・とはいえ、「同じ世界を繰り返す現象」と「同じ世界に見えるけれども物理法則の異なる異世界へ転移する現象」と、区別したからといって、その区別によってどういう意図が表現されているのかを読めていなければ意味がないわけですが、残念ながらそこまで読み取る能力はありません



・そういえば、後半は全部ナズナさんの妄想、という話がありました。
・水泳の競争でユウスケくんが勝って、ナズナさんはユウスケくんを誘ったにもかかわらず、なんやかんやでナズナさんとノリミチくんが一緒に行動する展開になったのは、ナズナさんの願望が反映されたという見方もできるのかしら

・「もしも玉(仮称)」が作動して願望が現実化したとき、その願望の副作用で現実が歪んでしまうとか、なんかそんなの



・作中で起こる現象の詳細はともかく、その現象(めんどくさいので以降「ループ」と記述)によって生じるわずかな差異の、ほんとに些細な違いが、個人的にはとても愛おしく感じられます。
・つまり、水泳の勝負でユウスケくんが勝ったときは、ナズナさんは率直に「好きだから」と言って誘ったのに、ループした世界でノリミチくんが勝つとそこまでハッキリした言い方はしていなかったと思います。

・他にもあった気がしたけど忘れてしまった

・ともかく、ループ現象によって生じる差異の、その異なり度合いの差分から、ナズナさんの内心が少しずつ浮き彫りになってくるような感覚があったように記憶しています。
ナズナさんは気持ちを素直に言葉に出さない人というか、口に出した言葉と内心とが必ずしも一致しないようなタイプの、少しばかりめんどくさい人物のようで、言った言葉をそのまま信じるわけにはいきません
・ループして1回目と2回目の差分をとることで、その差異からナズナさんの内心を推察するような構造なのではないかしら
・人の目が左右の位置の差から見ている対象を立体的に認識するような
・あるいは、左右の目の代わりに1つしかカメラがなくても、カメラを移動して複数の視座から観測することで、対象の立体的構造を把握しようとするような
・そんな多面的に観察する慎重さを求められている気がします。

・ヒロインなずな、前から見るか?横から見るか?



・そういえば着物の柄が、身体の動きと合わない変な動き方をしてたのは、なんか変な感じでした