帰ってきたヒトラー 感想

映画「帰ってきたヒトラー」を観ました。
6月25日、TOHOシネマズ川崎にて。
原作未読。

2014年のドイツにヒトラー氏が現れるお話。

日本の作品だと戦国時代のお侍さんが現代へやってくる作品にはいくつか覚えがありますが、(ドラえもんでお殿様がやってくる話だったり映画「サムライ☆ロック」だったり)、とくにサムライ☆ロックでは戦国武将がアイドルになって一大旋風を巻き起こしたりしていましたが、本作のヒトラー氏ほどの社会的な影響力は無かったように思います。

顔写真も残っていないような戦国武将ではいくら本人だと言い張っても大衆を納得させるだけの説得力はなさそうですが、ヒトラー氏は、そのたたずまいだけでも説得力があるかのようです。
もちろん外見だけであればモノマネ芸人でも似せることはできるのでしょうけれども、(劇中でもはじめのうちは仮装扱いでしたし)、次第に、ヒトラー氏の言動そのものが形となって説得力になっていきます。

このあたりは記録映像が残っている時間軸だからこその説得力だと思います。

ニコニコ動画で見かける総統がお怒りなシリーズのおっぱいぷるんぷるんの場面って元々有名な場面なんですね。
恥ずかしながら出典を知らないのですが、あ、見たことある場面だ、と嬉しくなってしまいました。

YouTube を音楽関係の動画くらいしか見ないもので、いわゆるゆーちゅーばーという方々がどんな動画を配信しているのか知らないのですが、本作に出てきたドイツのゆーちゅーばーの方々は、ヒトラー氏の言動に対して自分の意見を述べるような使い方をしていて、あんな動画でも再生数を集めることができるものなのかしらん、とちょびっと疑問です。

自分だったらそこいらの素性もよくわからないような人の政治的な意見なんて興味無いけどなー、と思ってしまいました。

あるいは、もしかしたら既にある程度知名度を獲得している有名なゆーちゅーばーさんたちだったのかしら。

劇中劇のような入れ子構造っぽいつくりになっています。
基本的には劇中劇の部分と地の部分とはくっきり区別されていたように思いますが、時折、とくにヒトラー氏が一般国民の皆さんと対話する場面なんかでノイズのようなザリザリっとしたものが挿入されていて、なんじゃこれ不良フィルムかと思ったりもしましたが、もしかしたら地の部分と劇中劇との境界の合図だったのかなあなどと思ったりしました。

インタビューとかのヒトラー氏と街頭の人々が触れ合う場面で、ヒトラー氏と直接話をしている人ではなくて、その背景のモブの人たちに、時たま黒い長方形の目隠しがかかっていたのですが、あれは何だったのかしら。
映り込んでしまったものの肖像権の使用許可がとれなかったみたいな感じなのかしら。

人の絶望と希望と祈りの具現化という意味では、アンリマユとかフルフロンタルみたいな概念的存在に近いのかなあと思いました。