映画「さようなら」を観ました。(1月31日観賞分)
原作未読。
原子力発電所がテロリストか何かの襲撃を受けただかなんだかで国外退去が推奨されている状況ではあるものの、いっぺんに流出するわけにもいかず、抽選か何かでお国が発表した番号の人から国外へ亡命できるみたいな世界のご様子。
(抽選発表の様子は藤子F先生の「定年退食」を思い出しました。)
既に退去は進んでいて街中の人口はどんどん減少し、さびれています。
主人公は西洋系の外国人風の女性。英語とフランス語も解するトリリンガル。
人型のロボットさんと一緒に暮らしています。
ロボットさんは足を悪くして修理もままならないらしく、車椅子で移動しています。
主人公さんはなんだかぐったりしていて、買い物なんかもロボットさんが行っているみたい。
予告編などから得た印象ではこのロボットさんが中心になるようなお話かと思っていたのですが、どちらかというとロボットさんは見守るだけみたいな感じでしょうか。
そういえばこのロボットさんは会話がとても滑らかなうえに、相手の言葉に反応して返答するだけでなく、自分から会話を切り出すことができるあたり、かなりコミュニケーション能力が高そうです。
買い物へ行ってきた道程で得た「誰々さんの退去が決まったみたいですよ」とか「あそこのスーパーが閉店してました」とかいった情報をご主人様へ報告できる、優秀なロボットさんです。
主人公さんの回想と、ニュース映像とが重なっていて少しややこしかったですが、
おそらくあの炎上していたのは、主人公さんの出身地で起きた火災ではないかしら。
いくらテロリストの襲撃を受けたとはいえ、原子力発電所があんな燃え方をするとは思えないですし。
発電所関連に限らず、けっこういろんな政治的問題に対してやや過激な視点からの指摘をしているみたいに見えました。
アパルトヘイト廃止後の南アフリカがどうしたこうしたとか。(そういえば映画「チャッピー」の舞台も南アフリカだったと思いますが、南アフリカは何かロボットと縁があったりするのかしら)
ロックバンドのライブかと思ったらなんかキャンプファイアーみたいなのに発展して、ほんとにファイアーしちゃったり。
うわぁ、ってなりました。
とはいえ、ファイアー自体を直接映像で見せるわけではありませんでしたけれども。
「九相図」という絵画があるそうです。
亡くなった人の遺体を野晒しにしておいて、次第に朽ちていく過程を段階的に絵にしたものらしいです。
本作でも、そんなような変化が描かれています。
はじめはただ眠っているだけに見えた人が、徐々に変化していきます。
屋内だったせいか、腐敗するというよりかは乾いて干上がっていくような、綺麗な朽ち方でした。
竹の花ってあんな感じなんですね。
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