野火 感想

映画「野火」を観ました。

原作未読。
市川崑版未見。

戦争のお話。
というか、もはや何と戦っているのかわからなくなった人たちのお話。

ひどいものです。

戦いそのものの凄惨さもありますが、熱帯雨林の中で生き残ることが目的と化しているようなあまりもの無謀さが、ひどいものです。

現代的な戦争であれば最新鋭の機器を駆使して、自分たちの手を汚すこともなくどっかんどっかんやれば済みそうなものですが、ゲリラ的な潜伏型の相手となるとこんな泥臭いお仕事もせにゃあならなくなるかと思うと、軍人さんってたいへんだなあと思います。

ともあれ、後半では『カンビュセスの籤』的な要素が盛り込まれていて、肝を冷やします。

自分ならはやいとこミートキューブになる選択をしてしまいたいと平時である今なら思えますけれども、有事の際にどうなるかなんて、いざとなってみなければわかりようもないのかもしれません。

少なくとも、そんな風になっても自分は冷静でいられるだなんて断言できる人を信用することはできない気がします。

野火(のび) (新潮文庫)

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