超能力研究部の3人 感想

映画「超能力研究部の3人」を観ました。

原作未読。
48とか46とかあのあたりは、あまり存じ上げません。

以下、けっこう根本的なネタバレを書きますが、観賞前にどこまで情報を得ているかで受け取り方が変わってしまうタイプの作品だと思いますので、ご留意いただきたく。

事前に情報を仕入れずに、え?、こういうお話なの?、と驚くも良し、
観賞前にこういう作品だとわかった上でご覧になるも良し。

たぶん宣伝広報さんも悩むところなのではないかしら。

結果的にアイドルさんの主演映画、という広告になっているようですが、(ポスターをちゃんと読めば間違ったことが書かれているわけではないのですが)、
ただのアイドルさん映画だと即断するのはもったいない作品だと思います。

以下、ネタバレ。
















超能力者とか宇宙人とか未来人とか異世界人とかが集まる謎の部活のきゃっきゃうふふなお話かと思いきや、
アイドルさんお3方が映画の撮影に挑戦するというメイキング集のような、
それでいて、映画本編とも連続的に接続するような、
映画という「作品」の部分と、裏側の「素」っぽい部分とがごっちゃになって、虚実入り混じったわけのわからないことになってて、すごくおもしろかったです。

どうやらメイキング部分に出てくる撮影スタッフさんたちも役者さんが演じてらっしゃるようですが、
アイドルさんが追い詰められて泣き出しちゃうようなあたりは素なのではないかしら。

ヤンキーのお姉さんたちとか、口撃はめちゃめちゃ怖いですけど、意外と礼儀正しかったり、プロの役者さんなんだなあ、と感服します。

劇中、キスシーンでフリだけするかほんとに唇を接触させるかという問題で事務所が絡んで揉めたりする場面があって、
そこへスタッフさんに紛れたファンの人が出てきて騒動を起こしたりして、さすがにこのあたりは茶番感が強かったわけですが、

接吻うんぬん以前に、アイドルさんの1人が、以前からの顔見知りだという男性スタッフさんと1対1で親密そうに話し込んだりしている場面は、ファンならずとも心穏やかではいられなかったりするわけで、
客商売はたいへんだなあと思います。

さらに1対1の場面で、その男性スタッフさんの彼女さんから電話がかかってきたりして、浮気現場をおさえられたかのようなちょっとした修羅場感もドキドキハラハラしました。



昔やんちゃしてた人が更生すると賞賛されるけど、大人しく慎ましやかに生きてきた人は大して顧みられることはなくてなんだか損な役回りだ、みたいな話題が時折ありますが、

本作でも、出来がさほどいいわけでもない方が監督さんはじめスタッフさん演者さんからアドバイスをもらってなんだかいい感じに良くなりましためでたしめでたしパチパチパチみたいなところで、

わりかし小器用でそれなりにそこそここなせる方は、特段なにか言われるわけでもなくなんだか小さくまとまってしまって面白みが無い、みたいなモヤモヤを抱えていたりして、

もうひとりはなんとなく飄々とした感じを醸しつついろんなところに気を配っていて、ふとしたはずみで涙がこぼれたりして、

そういった三者三様の対比もまたおもしろいというか、それぞれに身につまされるような部分があって、良い感じです。

1人が暴発して3人の関係がギクシャクしつつも、すったもんだで和解していく調和的な結末も含めて、アイドルさんたちが物語を通して成長していく、いいお話だったと思います。

あ、本編というのか劇中劇というのかわかりませんが、あれだけだと、正直なところ、さほど感銘を受けることもなかったのかなあ、とは思います。

あと、監督さんの演技指導がわりと漠然としていて、どういうものを要求されているのかいまいち掴みにくいところがあって、役者さん自身の考えに委ねる部分が大きかったりして、あれに応えなければならない役者さんというのはたいへんだなあ、とか思ったのを思い出しました。