寄生獣 感想

映画「寄生獣」を観ました。

PG12。
原作既読。
テレビアニメシリーズ視聴中。

前後編の前編らしいです。

人間に寄生して人間を捕食する謎の生物のお話。

原作の記憶もだいぶ薄れていて、アニメ版も新鮮な気持ちで楽しんでいる身には、なんだかんだいっても、これはこれでとても楽しめました。(不謹慎)

このお話を「楽しむ」と言ってしまうと、なんとなく悪趣味な気がしてしまう部分もありますけれども、(人も寄生生物もたくさん亡くなるので)、
でもまあ、田宮良子さんのような視点で、ある種の「実験」のようなものだと思って俯瞰する分には、
知的な好奇心を刺激されているかのような錯覚に浸ることができて、
結局のところ、「楽しい」とか「おもしろい」みたいな感想に落ち着きます。

所々、原作の記憶やアニメ版と異なるような気がする部分もありますけれども、一本の映画にまとめるための改変だと思えば、逆に、うまいことまとめたなあ、と感心する次第。(上から目線みたいですが他にいい表現が思いつかなくて)

むしろ、Aさんのあたりは、それぞれのエピソードがうまいことつなぎ合わせられていて、より悲劇性が増している気がします。
(ちょっと出来過ぎな感じもしてしまいますが。)

そういえば、寄生生物は乗っ取った人間の記憶をどのくらい残しているのかは、原作でも疑問点だったような気がします。

顔をコピーするだけならまだしも、その人物が誰でどこに住んでいるかまでわかるものなのかしら、みたいな。


あと、田宮良子さんのモノローグが少なめなのは、少し不親切かもしれません。

「田宮良子はもうやめだ」とか「顔や声は変わらないはずなのにどうして見破られたのだ」みたいにわかりやすく台詞で説明してくれるわけでなく、深津絵里さんの演技から察するしかないあたりは、
個人的にはむしろあそこで説明台詞を口にすることこそが田宮良子さんの本性のような気がするので、ちょっと違和感というか。

あれだけ優秀な田宮良子さんでも人間の不可解さ不合理さに動揺することがある、みたいな描写の場面だと思うのですが、説明台詞が無いと、内心の動揺まではなかなか読み取ることが難しいというか。

(その点、シンイチさんの内面はたいていミギーさんが代弁してくれるので、とてもわかりやすいのですが。)



後編(完結編)へのつなぎの部分もありますが、これ一本でもそこそこ区切りのいいところまでになっているので、これ単体でも楽しめる仕上がりなのは、お見事と言っていいでしょう。

後編(完結編)は4月とのことですが、もしかしたらその頃には地上波で流れるかもしれません。
(というか、放送してもらわないと前編の内容を忘れてしまう可能性大)



ちょうど選挙の季節ということもあり、美辞麗句を並べるような立候補者の中にパラサイト寄りの人が紛れ込んでいたりしないかしらん、と疑心暗鬼になってみるのも一興かもしれません。


完結編感想↓
寄生獣 完結編 感想 - 思い出の小箱の隅