魔性の子

小野不由美魔性の子」(新潮文庫)を読みました。

ここではないどこか、を追い求めるお話、でしょうか。

人がたくさん亡くなってびっくりしました。



主人公である教育実習生さんと、少し変わった雰囲気を持つ生徒さんとの、心温まる交流の記録としても読むことができるのでしょうか。

ふたりの絶対的に絶望的な差異が、物哀しいです。



その生徒さんの、「神隠し」にあったという過去と、周囲にまつわる不穏な怪異の噂と。

十二国記は未読ですが、背景にありそうな物語の、なんだか壮大そうな雰囲気に、どきどきします。

主人公さんたちとは別に、ひたひたと迫りくるような、「タイキ」を探す謎の女性の存在も不気味で、まさしくホラーといった醍醐味です。

そして、徐々に拡大する惨禍。

軽いケガから始まって、大量虐殺に至る過程は、なんとも悲劇的です。

結局のところ、あれだけ大きな被害に拡大してしまった原因は、「タイキ」を守護する彼らの暴走ということでいいのかしら。

「エン王」の襲来は、某ワルプルギスの夜を思い起こされました。



そんなわけで、十二国記にも手を出してみようかしらと思うのでした。