極道めし

映画「極道めし」を観ました。

原作未読。

とある塀の中の、五人の男たちによる、壮絶な舌戦のお話です。

各々がこれまでの生涯でいちばん美味しいと思った料理について披露しあい、
その中でいちばん、それ食べたいなあ、と思わせた者が優勝となって、お正月のお節料理の具材を一品ずつ奪うことができる、という、たいへんな真剣勝負です。

たまたま同じ部屋になった五人の男たちではありますが、それぞれの記憶と想像力とが激しくぶつかりあうことで、だんだんと心を通わせていくようになります。



そんなわけで、中心となるのは、各々が抱く、生涯でいちばん美味いと思った食事の記憶です。

料理そのものの味もさることながら、そこに付随する様々な人間模様の記憶こそが、最大の味付けとなっています。

塀の中に居るという境遇にありながら、そこに至る過程も含めて、各人の抱える複雑さが、深い味わいを添えることになります。



我が身を振り返ったときに、語るべき美味い食事の記憶があるかというと、さて、困ったものです。

日々の食事を美味しく頂けるというのは、それだけでありがたいことなのかもしれません。