天と地の守り人第一部

上橋菜穂子天と地の守り人第一部ロタ王国編」(新潮文庫)を読みました

タルシュ帝国の追っ手がかかる中、故国・新ヨゴ皇国を救わんとするチャグム皇太子の行方を、
短槍使いのバルサさんが追いかける、という、
追跡もののようなお話です。

帯にもあるとおり、バルサさんとチャグム皇太子は再会できるのか?、が主題。

チャグム皇太子の視点からは描写されず、わずかな手掛かりをもとに追跡するバルサさんの視点で描かれるので、
追いつけるかと思ったらまた見失ったり、思いもかけない助太刀が入ったり、そんな追跡の間に少しずつ、成長したチャグム皇太子の姿が浮かび上がってきたりと、
読者としては『旅人』シリーズで知っているチャグム皇太子の姿を、数年も会っていないバルサさんの目を通して描くことで改めて浮かび上がらせるという手法に、わくわく感とどきどき感が止まりません。

攻め込んでくるタルシュ帝国の脅威や、
チャグム皇太子が亡くなったものとして戦の準備を整えようとする新ヨゴ皇国、
内部分裂の種をかかえるロタ王国、
北部列国の命運を握るカンバル王国、
と、各勢力の内部事情も様々で、果たしてどのような結末を迎えるのか、予断を許さない状態で、次巻へと続きます。