中山七里「連続殺人鬼カエル男」(宝島社文庫)を読みました
刑法第三十九条に関するお話、だと思います。
たしかにサイコでグロテスク、猟奇的で暴力的なお話でした。
事前に騙されると言われて警戒していたにもかかわらず、単純な叙述トリックに引っ掛かってしまったのが、悔しいです。
トリックとしては初歩中の初歩なだけに、作者がお見事と褒めるしかありません。
もう少しだけでも冷静に読めていれば引っ掛かることもないでしょうに、そうさせないだけの展開の巧みさ。
ただ、どんでん返しに次ぐどんでん返しについては、まぁ、さもありなん的な感じで、あんまり驚きは無かった気がします。
自分が鈍感になっているだけかもしれませんが、単純に、なるほど、と納得するのみでした。
それよりも、民衆の恐ろしさというか、サスペンスよりもアクション、お話がダイナミックに躍動し始めてからの、主人公(と言っていいのかしら)のサバイバル的な大奮闘劇に、手に汗握るどころか血が滲みそうなドキドキハラハラ展開に圧倒されました。
欲をいえば、主人公の名前が「お」で始まっていたら、もしかしたらもしかするかも的な緊迫感はより大きかったのではないかしら。
なんて思ったり。