ヘンリー・ダーガー展

ラフォーレミュージアム原宿「ヘンリー・ダーガーアメリカン・イノセンス。純真なる妄想が導く『非現実の王国で』」へ行ってきました

以前の展覧会のときの感想は ヘンリー・ダーガー 少女たちの戦いの物語─夢の楽園 - 思い出の小箱の隅
2007年、4年近くも前になるんですね。わぉ。

個人的に、外的な諸事情もあって、妙に思い入れが強くなってしまった、作家さんと呼んでいいのかもわからないような、一人の人物が遺した『作品』の展覧会です。

印象としては、実は、以前のものと大差無いので、リンク先を参照してください。

ただ、今回は、残酷な描写のものも展示されているので、耐性の無い方はご注意を。





この展覧会は、ヘンリー・ダーガーという人の死後、彼の部屋から発見された、膨大な作品群『非現実の王国で』の挿絵のごく一部分、および、彼の生き様をわずかながらもわかる限りに、展示されているものです。

ヴィヴィアン・ガールズという7人の少女達を中心に描かれる『非現実の王国で』という膨大で全容もわからないような物語の、
展示されているのはそのごく一部分に過ぎないわけですが、
それでもなお、そこに描かれる世界は鮮やかで、繊細で、残酷で、荒唐無稽で、信仰に篤く、冒涜的で、力強く、孤独で、なんとも言えず人を魅了する、圧倒的なまでに唯一無二の、『純真なる妄想』が繰り広げられています。



今回の展示では、より、ヘンリー・ダーガーという人物の在り方に迫っていて、
生い立ちから始まり、どのような境遇で育ったのか、
いかにして独自の描画手法を獲得していったのか、
彼がどのように生活し、周囲からどのように見られ、亡くなり、作品が発見されるに至ったのか、
などなど、資料的な意味合いが色濃くあります。

そこには、この才能が知られずに葬り去られるにはあまりにも惜しい、
このような才能が人知れずに在ったことをより多くの人に知らしめたいという、
主催者をはじめとする様々な人々の思惑があるのだと思います。

他人に見せることを意識していない、ごくごく私的な世界であるが故に、
逆説的に、圧倒的な迫力をもって、観賞者を魅了するという皮肉。

先日のシュルレアリスム展に続いて、またもや、芸術とは何ぞや?、とわけがわからなくなってみたりしています。