米林宏昌監督「借りぐらしのアリエッティ」を観ました
おもしろい、というよりも、じんわりと心にしみる映画、でしょうか。
ドキドキハラハラもあるものの、楽しい嬉しいよりも、しっとりと落ち着いた静かな雰囲気で、
宣伝でも使われている「滅び」がキーワードになっている感じ。
もうひとりの主人公・ショウくんは、心臓の病気だとかで、生きる望みを失いかけているようなのですが、
その絶望感みたいなものが、作品全体を支配してしまっているかのようで。
逆に、アリエッティさんの家族は、親子3人ながら、仲良く、それなりに明るく生活していたわけですが、
そんな幸せな家族像そのものが、まるで「滅びゆく種族」なのだ、と宣告されているようにすら感じます。
アリエッティさん一家を救うスピラーくんの風貌も、象徴的です。
映画の最後は、希望の光に向かっているので、明るい未来を迎えることができるかのような暗示なのかもしれませんが、
具体的な明るい将来像を提示できなかったがゆえの苦肉の策にも見えてしまい、
やはり、この国、あるいは人類そのもの、の未来はあまり明るくないのかしら、なんて考えてしまうのでした。