15×24 link two/three

新城カズマ
15×24 link two 大人はわかっちゃくれない」、
15×24 link three 裏切者!」
(ともに集英社スーパーダッシュ文庫)を読みました

全6巻のうち、2巻と3巻です。



前巻では、あくまでも、〈徳永準〉くんの自殺予告と、それを止めようとする〈捜索隊〉のお話でしかなかったわけですが、
2巻からは、別の事件が絡んできて、事態の複雑さ・ややこしさが増大してきます。

なかでも、事態をかき回すのはかなり過激な人物のようで、ちょっぴり、血なまぐさげな予感を漂わせていて、不気味な雰囲気を醸し出しています。

そして、その人物と直接は関係ないものの、3巻では“ついに”という事態になってしまいました。

題材からして“死”を扱っている作品ですので、ある意味必然なのかもしれませんが、
よりにもよってこの人か〜、と。

このままだと報われないところなのですが、超常的な救済措置がとられているようで、まだ何かしら役割が残っていると期待できそうかしら。

そして、そんな中でも悲しむ間もなく更に事態は動いていき、
〈徳永準〉くんとは無関係に規模が拡大していく一方、
〈徳永準〉くんの側でも、あっちへふらふらこっちへふらふらと、流されるようにウロウロしています。

そういえば、〈徳永準〉くんが途中で出会った人物はなんだか幻想的な奇妙な雰囲気でした。

西から来た〈とくせん〉さんってのは、まぁなんとなくわかるとして、〈かがち〉さんって何でしょう?

それはともかく、この人物のおかげで、〈徳永準〉くんも、自分の自殺の問題だけではなく、もっと大きな波へ飲み込まれていくことに……、
いや、それ以上に、ネットワークを介して伝播していく、噂という名の都市伝説と化していくうねりの中心にいたはずが、
実在の〈徳永準〉くんと、ネットワーク上で口伝される伝説の〈徳永準〉くんとが乖離していき、
実在くんが伝説くんを追いかけるような展開になっていくのかと思うと、ちょっぴりわくわくします。

で、お話としては、新加入のオリグチホノカさんが、またおもしろそうなキャラクターをしていたりだとか、
井の頭公園でのダイナミックな大乱闘だとか、
他の〈捜索隊〉とは別動で〈17〉に接触する人物が出てきたりとか、
なんだかもう、あれやこれやいろんなことが起こってはいてたいへんではあるのですが、
意外とというかなんというか、それほど混乱はしていないのかなぁ、という印象です。




それはともかく、これだけしっかりしているお話なので、
ケータイの画面を見ずにメールをやりとりするようなちょいと無茶じゃないかしら?、と思うような描写は気になってしまったり。



でもまあ、基本的に現在進行形で、東京都内を縦横無尽に平面移動し続ける物語に、昔話が添えられることで、立体的な厚みが出てきたかな〜、という感じで、
以下続刊、楽しみです