漫画をめくる冒険別冊

泉信行漫画をめくる冒険別冊 リーフィング・スルー/オンルッカー」を読みました♪

漫画をめくる冒険」の新刊同人誌です。

前作、<上巻>の続編ではなくて、これまで『ユリイカ』誌上で掲載された記事の基礎理論部分を再構成したもの、だそうです。

<上巻>と重複する内容もありますが、<上巻>が読み物としてもおもしろかったのに対して、
本書ではより理論や原理に関する記述に重点が置かれているように感じます。

「マンガを読むための文法」のテキスト、という印象です。

マンガを読む習慣が身に着いている読者にとっては当たり前のようなことを、敢えて言語化しようとしているみたいです。


<上巻>からの追加要素としては、「漫画」が三次元的な作品であることを、更に強調している点でしょうか。

『表現』誌の夏目房之介さんの記事による補完を受けて、
「漫画本」というメディア形態で提供されることによって、読者が作品を鑑賞する際に、様々な角度から読んだり、平面を曲げたり、ページをめくったりしているわけで、
そういった立体的な読者側のアクションが作品に及ぼす影響について、誌面を大きく割かれています。


で、具体例としては、
ジョジョの奇妙な冒険」やら、「魔法先生ネギま!」やら、「炎の転校生」やら、「ヒストリエ」やら、といったあたりの作品が引用されています。

このあたりは、作品としてではなくて、あくまで視覚効果の例としての引用ですが、
コマの位置を変えたり、左右を反転したり、といった実例が示されていて、わかりやすくなっています。


さらに、コラムとして、安彦良和さんの「アレクサンドロス〜世界帝国への夢」を例に挙げて、絵としての左右が作品においても重要な意味を持つことが示されます。

こちらは、作品の中身と直結した議論になっています。

富野由悠季さんの話なども引用されていて、読み応えがあります。


さらに、付録として、
DEATH NOTE」、「魔人探偵脳噛ネウロ」、「新訳「巨人の星」花形」、「スパイシーピンク」、「成恵の世界」、「放課後ウインド・オーケストラ」、「テニスの王子様」といった作品についての記事も掲載されています。


アレクサンドロスデスノート、スパイシーピンク、成恵の世界放課後ウインド・オーケストラあたりは、以前の12時間耐久ラジオでも言及されていたのを思い出したりしました。