T・Pぼん【スペシャル版】3

藤子・F・不二雄T・Pぼんスペシャル版】」3巻、潮出版社を読みました♪

単行本未収録の3作品を加えた、最終巻です。


「魔獣デルブ」
クロマニヨン人の狩りのお話です。
適材適所の概念はこんな風に確立されてきたのかもしれません。


「奴隷狩り」
古代中国の殉葬と、19世紀アメリカの南北戦争を絡めて、奴隷制度について考えさせられます。
とりあえず、アンクル・トムの小屋は読むべきなのかしら…


「トロイが亡びた日」
ホメロスによって語られるトロイ戦争と、シュリーマンをはじめとする近現代のトロイ発掘と、
過去と現代とを結び付けて指令を遂行するあたりは、時間超越の醍醐味ですね〜

そうか、この作品は空飛ぶ木馬より後に発表されてるんですね〜


「浦島太郎即日帰郷」
浦島太郎も、F先生がしばしば題材に取り上げるお話ですね〜

ぼんくんたちの気まぐれな休暇が、一人の男性を残酷な運命へと導くのでした。


「誰が箱舟を造ったか」
ノアの箱舟の元ネタの元ネタのお話でしょうか。
メソポタミアの農耕文明初期の様子の描写など、見どころもたくさん。
ぼんくんのこういう思いつきが、タイムパラドクス的というか、T・P隊員になれた大きな要因なんでしょうね〜


「死神の大軍」
14世紀のヨーロッパで猛威を奮った死神の大軍のお話。
周り中死体がゴロゴロしている様子を、黒塗りで直接的には描写していないのに、想像が膨らんでしまうのは、マンガとして巧みだということなんでしょう、きっと。


「鉄の町の秘密」
ヒッタイトの製鉄技術のお話。
着想は別の方の著書から、とのことですが、クライマックスにあたる大掛かりな製鉄方法は圧巻です。


「古代の大病院」
未収録作品その?。
紀元前のトルコにあった大医療センター「アスクレピオン」のお話。
医療機関は、技術もさることながら、いちばん大切なのは「安心」なのかもしれませんね〜


「十字軍の少年騎士」
キリスト教徒の少年騎士と、イスラム教徒の戦士とのお話です。
こんな風にキレイにおさまればいいんですけどね〜、…


「神の怒り」
未収録作品その?。
古代ローマ時代の、ベスビオ火山大噴火のお話。
キリスト教のラザロの復活は、直接は関係ない、ですよね?


「ローマの軍道」
未収録作品その?。
道路工事がローマ帝国発展の原動力でした、というお話。
道路作りがお好きな政治屋さんあたりが読んだら大喜びじゃないかしら…


未収録だった3作品とも、ローマ帝国が題材なんですよね〜

このあたりのことをもっと知っていれば、より楽しめるのでしょうけども…


…というよりも、この「T・Pぼん」という作品自体が、単体で楽しむだけではなくて、これをきっかけにして視野を広げるように書かれているのかもしれないなぁ、とか思ってしまいました。