RE-TAKE

きみまる(STUDIO KIMIGABUCHI)「RE-TAKE 全年齢版」第壱集〜第参集を読みました。

新世紀エヴァンゲリオンの同人誌マンガで、
成人向けだったものを全年齢版にしたもの、のようです。

以下、ネタバレ、バレバレで。





帯には、「エヴァ同人界初の『逆行系ストーリー』」とかって書いてありますけど、
インターネット上で読めるSS形式の2次創作ものでは、
『逆行系』のお話はわりと多かったように思います。(過去形)

旧劇場版「まごころを、君に」の最後の解釈が、如何様にも読み取れるせいか、
TV放映版の最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」で『学園エヴァ』の可能性が示されたせいか、
ノベル形式のゲームが台頭してきた時期と重なったこともあるのか、
背景はいろんな事情があるのでしょうけども、

当時、『やり直し』テーマのSSはたくさん書かれていた上に、その水準も比較的高く、
エヴァンゲリオン」の世界がいろんな形で再構築されていました。

「RE-TAKE」作中でも触れられていますが、
あの「サードインパクト」以降、シンジくん(および読者)にとって気持ちのいい夢の世界が、無数に作られてきました。

それこそ、「江戸時代から未来世紀まで」。

…というのが前置きで、この「RE-TAKE」は、
そんなエヴァ2次創作の集大成としても、見事な出来栄えになっていると思います。

物語は、旧劇場版の「その後」…
…といっても、あの「終劇」から一転して、
ディラックの海に取り込まれたシンジくんが戻ってきて目を覚ますところに場面が移ります。

夢で見た過去/未来の記憶のおかげで、目覚しい活躍をあげるシンジくんは、
次第にアスカさんとの仲を深めていきます。

が、そんなシンジくんの前に、左目に包帯を巻いたプラグスーツ姿の、あの赤い海の畔にいたアスカさんが姿を現して…

『逆行もの』のお話は、タイムパラドクスとか、ややこしいことを考えるとどんどんややこしくなっていくわけですが、
この「RE-TAKE」もやはり、ややこしい構造になっています。

あの「赤い海」へ至ってしまったシンジくんとアスカさん、
逆行して戻ってきた世界本来のシンジくんとアスカさん、
2つの世界のシンジくんとアスカさんとが交錯して、
さらに次元を超越した「神さま」まで巻き込んで、
「未来」を勝ち取ろうとします。

これは、あの「赤い海」の世界に閉じ込められてしまった人間にとっての「開放」のお話かもしれません。

本家の新劇場版とは別のベクトルで。


ちなみに、この「RE-TAKE」は、LASに分類されると思います。

アヤナミさんの扱いはまぁ、ごにょごにょ…
カヲルくんについては、さらにごにょごにょ…

なので、読む前に注意と覚悟が必要です。