遠まわりする雛
古典部シリーズ四作目、短編集です。
「やるべきことなら手短に」
<省エネ少年>折木奉太郎くんの信条であるところの、
『やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければならないことなら手短に。』
にまつわるお話。
学校の怪談の噂を聞いたホータローくんは、千反田えるさんの行動を先読みして対策を講じますが…
福部里志くんの、「保留」という言葉は、今後、ホータローくんに重くのしかかります。
ところで、『女郎蜘蛛の会』って、某アトラク=ナクアちっくですね〜
「大罪を犯す」
某西洋の宗教でいうところの「七つの大罪」のお話、でしょうか。
ホータローくんが、知り合って間もない千反田さんのことをわかったような気になったり、意外な部分を知ったり。
傲慢は慎むべし、慎むべし。
「正体見たり」
『現代の世の幽霊たちは、次々と枯れ尾花だと看破され続け、幽霊を幽霊のままにしておくのは難しい』、という、冒頭のホータローくんの主張通りのお話でしょうか。
総勢四名の温泉合宿のわりに、ずいぶんバラバラに行動してますね〜
「心あたりのある者は」
放課後の呼び出しに秘められた意図を読み解くお話。
ホータローくんの人生設計の問題をかけた、千反田えるさんとの、膏薬はり勝負です。
「あきましておめでとう」
元日、神社の納屋に閉じ込められたホータローくんと千反田えるさんが、いかにして脱出するか、というお話。
「正体見たり」での伏線が効果覿面です。
密室で二人きりという状況で、あれこれと体面を気にしてみたり、というのは、なんだか頬が緩んでしまいます。
「手作りチョコレート事件」
福部里志くんと伊原摩耶花さんとの、一年越しの対決のお話、でしょうか。
福部里志くんの保留の態度が伊原摩耶花さんを傷つけますが、ホータローくんはむしろ、千反田えるさんの心配をしているように見えます。
「遠まわりする雛」
春休み、旧暦合わせの雛祭りで、『生き雛』行列にホータローくんと千反田えるさんが参加します。
そして、ホータローくんに、致命的で決定的な事件が起こります。
この「しまった」、「これは良くないぞ」という、言葉にならない(あえて言葉にしない)感覚。
春ですね〜