荻浦嬢瑠璃は敗北しない
元長柾木「荻浦嬢瑠璃は敗北しない」(角川書店)を読みました♪
前作の《『飛鳥井全死は間違えない』の続編とも番外編とも言えるような言えないような作品》です。
えと、まず、正直、おすすめはしません。
2作を通じて中心となるのが、飛鳥井全死です。
電気娘(テスラガール)の異名で呼ばれる、域外者(アウトサイダー)にしてフォーミュラツイスタ。
「飛鳥井全死は間違えない」の語り部となるのは、香織甲介。
辺境人(マージナル)で不可触(アンタッチャブル)の、殺人者。
「荻浦嬢瑠璃は敗北しない」の主人公・荻浦嬢瑠璃は、敗北鑑定能力を持っていて、飛鳥井全死の奴隷。
…という感じの、悪く言うと西尾維新を失敗したような?、人物だったり設定だったり、です。
これらの登場人物が、他人の人生に介入してみたり、首なし死体の謎を解いてみたり、学園を支配してみたり、世界を革命しようとしたり、社会を敵に回したり、…
…な、ごちゃごちゃなお話です。
で、これらのお話で肝となるのが、「メタテキスト」という概念です。
作中でも散々説明されるのですが、いまいちわかりません。
…わかりませんが、なんだかおもしろく感じてしまいます。
メタテキストとは、その人物の「世界」における位置付けみたいなもの、入力と出力の間にある「関係」、「関数」のようなもの、らしいです。
で、メタテキストを読めるのが域外者。
更に、他人のメタテキストを改変できる人間が、フォーミュラツイスタです。
…わけわかりません。
まぁ、このメタテキストという概念が、元長柾木さんらしい?かな〜?みたいな?感じでしょうか?
小説の登場人物が、自分が創作物であることを自覚して、創造主に対して反旗を翻すような?…というほどあからさまでもないのですが…
このあたりは、やっぱり、ノベルゲームの選択肢分岐や繰り返しみたいなシステムというか構造みたいな方に向いている題材なんですけどね〜
おまけに、メタテキストという概念のおもしろさに対して、物語のレベルではやたらと暴力的で血生臭くて、ちょいと過激です。
形而上的な概念と対比して、物理的で肉体的な描写がされているのだとは思いますが…
む〜、とにかく、人にはおすすめしづらい作品です。